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デンジ×ゲン



「んじゃ次はチョコとこれ混ぜて」

なんなんだろう‥‥この状態は


ゲンははぁ、と小さくため息をついた

二人の状態‥‥それはゲンがデンジにチョコケーキの作り方を教わっている

端から見るととても可笑しい光景だった


ゲンはデンジにあげたいのに「食べるなら好きな奴の上手いのがいい」といって半ば強引に指導をしているデンジを見やる

好きと言われるのは嬉しいがデンジのほうが料理が上手く、更に自分の考えが筒抜けなのが少し悔しかった


「おーい、聞いてるか?」

少し呆れた顔のデンジがゲンの前で手を振る


「あ、ごめん」

ゲンは慌てて止まっていた手を動かす


教えてもらっていても自分が作ったことには変わりない

なら上手に作って食べさせればいい


そうゲンは心に決めデンジのアドバイスに耳を傾けながらケーキ作りに勤しんだ



数十分後には型に流し込み終わり、オーブンで焼くだけになる


デンジはふう。と息をつき

「よし、休憩すっか」

「そうだね。紅茶でも入れようか」


ゲンはポットを火にかけ茶葉の入っているカンなどを出す

デンジはオーブンの火加減をみた後にキッチンを出て行った



なんてマイペースなんだろう

第一印象なんて当てにならないなとゲンは茶葉をすくいながら考える


そんな彼に今日は大好きだと伝えたいと考えながらお湯が沸くのを待つ



しばらくしてお湯が沸き紅茶をいれてゲンがリビングに行くとデンジはソファーに座ってボーっと外を見ていた

「デンジ君?」

「・・・」


まったくの無反応に少しムッとなったゲンは紅茶をテーブルに置いた後デンジの前にしゃがみ


むにっと頬をつまんだ



「・・・・・・・・」

「・・・・・・・」




「・・・いひゃい」

しばしの無言の後デンジは驚きボソリと呟いた


返事はしなかったがこんなことをするほどのことか?

そう言いたそうな困惑の表情を浮かべているデンジにゲンは静かに



「君は返事も返さないのかい?」



と言い放った


正直なところゲンがこんな事をしているのは単純な不安


仮にも恋人同士であるのにその恋人の呼びかけを無視した

それだけで胸が苦しくなる


ああ、バレンタインなのになんて事をしてしまったんだろう

ゲンは今更後悔の念に押しつぶされそうにる



じっとゲンを見ているだけだったデンジはゆっくりと掴んだゲンの手をはがし


「そんな顔すんな

ごめん、ちゃんと今度から返事する」


デンジは今にも泣きそうな顔をしたゲンの頭をなでる


ゲンは酷く安心したらしく、くすぐったそうに目を細める



「私の方こそごめん、こんなことでおこちゃって」



「いや、俺愛されてるんだなって実感した」

「はぁ!??」

「だってそうだろ?返事しないだけで怒るんだし」

「っ〜!!」


さらりと事実を言われたゲンの顔は一気に赤く染まり、口をパクパクさせている


完全ではないが思考が停止しているゲンをデンジは引き寄せデンジの膝に座らせ後ろから抱き締める


「ちょっと!!デン「このままが落ち着く」

・・・・・」


いまだに顔の赤いゲンはまわされた腕に顔をうずめる



うれしい



純粋に自分を抱きしめることが落ち着くと言ってくれたことが酷くうれしい




「デンジ君」

「ん?」


君にこの気持ちを伝えよう





「ありがとう。大好きだよ」






終わりは最高の
((どーいたしまして))
((俺も大好きだよ))



fin.


2010バレンタイン

20100707 修正







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