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レッド×ダイヤ



この山に居続けて何年なるんだろ‥‥

下の街までなら買い物に行くけど山で過ごした年数も今日が何日かも忘れた


定期的に様子を見にくるあの子も最近は来ていない(本人は遊びに来ているらしいけど、どう考えてもグリーンあたりの差し金だ)

「……ピカチュウ」

「ピ?」

相棒のピカチュウが耳を動かし肩に乗る


「‥‥今日は……誰も来ないと思うから

戻ろう」

それを聞いたとたんピカチュウは肩から飛び降り洞窟に向かって走り出した


‥‥‥よく分かんないけど俺も行ったほうがいい‥‥よね?



今日は吹雪いていないから視界がいいから迷わないで洞窟に戻れた


先に戻っていたピカチュウは洞窟の奥の焚き火にせっせと薪を追加してる

‥‥珍しい



そんなに寒い?と思っていたら





風が吹いて、




振り返れば




あの子が此方に来るのが見えた



あの子は俺を見た途端に走りだして


「レッドさん!」

と笑った


足元が少し凍っているし

ああ転ぶ、と思った矢先


あの子は足を滑らせた


「きゃっ」


ステンッと転びカバンから荷物が溢れる


ダイヤは片手で体をさすりながら慌てて荷物をかき集める


でも集め終わったのに座り込んだまま


よく見れば足を押さえてる、捻ったんだ


レッドは仕方ない、とため息をつきつつ

ダイヤに歩み寄り手をとり立たせるために引き寄せる


「ありがとうございます」


「‥‥‥‥別に」


ダイヤの手を掴んだまま洞窟に入る


ピカチュウはこの子を見たら嬉しそうに手を振って、ダイヤも手を振り返した


‥‥‥そっか、ピカチュウが火を焚いてたのはこの子のためか



合点がいきつつダイヤを焚き火の近くに座らせ


レッドは反対側の少し離れた所でボールを磨く


「‥‥あ、あの」

「‥‥‥」


ダイヤが何か言いたそうだけど分からない



そもそも起き上がらせてから思ったけど

俺はなにやってるの?


別にほっといても良かったのに仕方ないって助けて


昔はそんなことしなかつた


俺が分からない



「レッドさん!」


考え事をしてたせいでダイヤが目の前にいるのに気づかなかった


「‥‥‥‥なに」


ぶっきらぼうに怪我してるなら座ってなよ、と言おうとしたら

ずいっと何かが渡される


眉をひそめてそれをよく見たらラッピングされた箱

よく分からないけど受け取って中身の確認の為に開ける


「‥‥‥‥‥チョコ」

「今日バレンタインなんです、レッドさんにはお世話になってるから作ってきました

あ、甘さは控えめです!」


必死に説明するこの子の姿が少し滑稽だな‥‥と思って


まじまじとチョコを眺めてから口に含む


‥‥‥チョコ独特の甘みはあるけど、どっちかと言えば苦い



無言でまた一つチョコを口に含む



三個目を食べる前にあの子をみれば

感想がないからか縮こまっていた


その姿に内心クスクス笑いながら

「‥‥‥ダイヤ」

「!?は、はい!!」


名前を呼べば背筋をピンと伸ばし手に力が入っているのが分かった

「‥‥‥‥今度は普通に甘いので良い

これ苦すぎ、正直食べたくない」

「え‥‥すいません‥‥‥





またつくります!!」


ぽかんとしたあとダイヤは嬉しそうに微笑んだ

その酷く安心した顔を見ながらまた一つチョコを口に含んだ




Bitter love
苦いけど甘い



fin


2010バレンタイン

20100707 修正







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