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主♂N+ダイヤとファイア
ジラーチの設定を映画を元に捏造





「ブラック、今日はタナバタだね」

「‥‥あ、ほんとだ」


Cギアを覗きこめば7/7、確かに七夕だ。
しかも日が暮れそうな今、空は晴れ渡っている。

「星みたいの?」
「うん、ネジ山の近くは綺麗に見えるらしいよ!」

ここでブラックは今日Nがセッカシティに行きたいと言い出した理由を悟った。
リュウセイランの塔が近いこの町にNは近づきたがらない。

だが、確かにネジ山の頂上から見る星は、イッシュ内でも有数の美しさを誇ることで有名だ。
ちなみに一位はホワイトフォレストだが、行くたびに街並みが変わるせいで空を見上げても星が見えないことも多い。

「いいよ、早く行こう」

うきうきとした表情を隠せないでいるNに和みつつもベンチから立ちあがって、二人で街の入り口に進む。

すると、入口のその先に見慣れた後姿を見かけた。


「あれ、ダイヤじゃないか!それにファイアも」
「あらNにブラック、あなた達も星を見に?」

「俺はおまけか」

そこにいたのは放浪組と名高いダイヤとファイアだった。

Nはダイヤを視界にとらえると一直線に走り寄る。ダイヤの横にいたファイアがとても微妙な顔をしているので、ブラックは無言でその肩をたたいた。
ファイアはブラックのその行為にさらに顔を歪めたが、なんとか持ち直した。


「そうだけどあんた達はなんでここに?星なんてそっちの地方でも見れるだろ」


「‥‥‥そう、なんだけど、ね」


ブラックは珍しく歯切れの悪い返事をしたダイヤに思わず凝視する。
いつもなら唯我独尊に近い発言すらさらっと言ってしまうダイヤだからこそブラックやNは焦りを隠せない。


「お前らそろそろ登るぞー?」

タイミング良く話の流れを切るように発せられたファイアの言葉に3人は一斉に動き出した。
しかしブラックとNの、どことなくぎくしゃくした動きに傍観を決め込んでいたファイアはため息をつく。

そしてネジ山の頂上に向かいにブラック、N、ファイアがボーマンダに、ダイヤはフライゴンにまたがり出発した。

流石に夏なのでドラゴンタイプのニ体も元気そうに飛んでいる。



「お前らダイヤに気に入られてるから言うけどさ、ダイヤは七夕の日になると他地方の天体観測スポットを回ってんだよ」

ネジ山までの距離がだいぶ縮まった頃、ファイアは口を開いた。


「シンオウの空は見飽きてるから?」


Nはファイアの言葉の意味が分からず、もっともらしい答えを言いつつも首をかしげる。
ブラックも後ろのダイヤを気にかけながら首をかしげた。

「いやそれは無い、ダイヤはシンオウ好きだし。飽きるなんてない」


やはり、というべきかNの答えは否定される。

「まあ昔の話だけど、ダイヤはとあるポケモンをパーティに入れてたんだ。けどそのポケモンは一種の伝説のポケモンでさ‥‥」


ファイアは記憶をたどるようにぽつぽつと言葉を繋げていく。

ダイヤとそのポケモンは凄く仲が良かった。まだダイヤがチャンピオンになる前だから、俺とも会ってなかったわけだし、詳しいことは知らない。
けど、そのポケモンは悲しいことに期間を過ぎると眠りにつく特別なポケモンだった。


「えっ、それってもしかして‥‥」

そこまでの説明でNは思い当たるポケモンがいたらしく、振り返ってダイヤを見てから、向き直り顔を伏せる。
ブラックは、ファイアの話を聞いて、なんとなくダイヤの行動の意味が分かった気がした。


「シンオウで星を見たら思い出すんだよ、ジラーチを」


ジラーチ、人の願いをかなえると言われている伝説のポケモンの一体。

その体に溜めたエネルギーを使いテレパスなどで人の願いを叶えると言われているポケモン。
そしてエネルギーが少なくなると眠りにつき、星の海に潜ると言われている。
眠りについたジラーチが再び目覚める期間は不鮮明であり、研究途中である。


ブラックはポケモン図鑑の説明を黙読し、その画面をNも覗き見る。


傍から見たらラッキーと言われるかもしれないその邂逅はダイヤに大きな穴をあけ、彼女の中の何かを変えたんだろう。
自分達の失言に目を伏せる二人だったが、ファイアは二人の頭を小突きながら笑う。

「別にダイヤは怒ってはいないから」


じゃないと俺はとっくに死んでる。そう冗談交じりに呟くファイアにつられて二人も笑うが、やはり後ろを飛ぶダイヤを気にしていた。



そんな時、世界が淡い光に包まれる。


いきなりの出来事にニ体は揃って移動をやめ滞空する。
四人は何が起きたか分からず辺りを見回し、空の異常に気付いた。


「‥‥流星?」

ぽつりと静寂の中、こぼれた言葉が広がる。



空には流星と言うには大きすぎ、彗星というには地面に落ちるように尾を伸ばす何かがそこにあった。
その尾の先は、セッカの奥。リュウセイランの塔に続いていた。

「なんだこれ‥‥」
「自然現象でこういうことは聞いたことがないから多分ポケモンの力」

Nは冷静に自分の知識と照らし合わせ、ポケモンの仕業だと結論付ける。



「‥‥‥ジラーチ?」


ダイヤの声はか細く震えていたが三人の耳にはっきりと届いた。


「っ!フライゴンあの尾の場所にいって!!」


フライゴンはダイヤの声に素早く反応を示し、再びセッカへと戻っていく。
あまりの速さにブラックとNは早々にダイヤを見失い、ファイアにボーマンダへの指示を仰ごうとファイアを見ると、ファイアは口元に手を当てなにか考えているようだった。


「‥‥彗星の降る夜、星の使者は舞い降りる」


これは以前シロナが言っていた伝承であり、実際にダイヤはジラーチと出会った日、彗星のような尾を見たと言っていた。

「おし、ボーマンダ俺達もあの尾の先に行くぞ!」


ブラックとNもその言葉がジラーチをさしていることを理解したんだろう。
その顔に新しい出会いを楽しみにしていることがにじみ出ている。













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