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デンジ×ゲン


私達の連絡手段は携帯。



恋人という関係になってからいつの間にか、いつの間にか決まったこと。




今日も寝る前に携帯を取り出してボタンを押す。


数回コールの後、ピッと音がする。

[よう]

「こんばんわ、平気だったかな」

暗に仕事とか、と含んだ言い方をしてみる。


[心配すんなちゃんと仕事はしてる]


失礼な、といった感じで息を吐き出す音が聞こえる。


[今日も特になかったか?]

「そうだね‥‥ルカリオが島のハガネールとバトルしてね。
大分接戦だったけどこちらが勝ったよ」

そうベッドの脇で寝入っているルカリオにもう一度お疲れ様、と呟いた。


[お疲れ、また強くなったんだな。またこっちにきたらバトルするか]

以前のやる気のなかった頃とは違い燃えているのが電話越しでも分かる言葉に小さく笑う。


「うん、そうしたいんだけどね」

ナギサに今すぐにでも行きたい。でも私にも仕事がある上に明日からは遠くに行かないといけない。


[一時間待ってろ]

歯切れの悪い返事に痺れを切らしたようにデンジ君はいきなり電話を切ってしまった。

呆然と通話を切り、時計を確認する。


「一時間?‥‥‥何をする気なんだ?」


疑問が疑問をよび、ゲンは携帯を握ったまま思考の海に潜っていった。






ピンポーン




思考の海から抜け出し、珈琲を飲んでいるとチャイムが鳴る。
こんな時間に誰だろう?と文句を言うために時計を見てはっとした。



同時に口元が緩ムが構わずドアに走っていき勢い良く開け放つ。



ドアの前にはやっぱりデンジ君がいた。一時間とはナギサからここまで来るって意味だったんだね。

「よう」

「全く、何時だと思ってるんだい?」

いつもと変わらない表情で片手をあげる彼に咎めるが声が弾んでまったく咎めると言う意味をなしていない。


「別にいいだろ」
「良くない。ルカリオ達が起きたらどうするんだい」


明日も早いんだから、そう言うとデンジ君は少し顔を歪めたと思ったら次の瞬間抱きしめられていた。
上から覆い被さるように抱きしめられているから腕も動かせない。





「いつ帰ってくるんだ?」

しばらくして上から声が降ってくる。


「そうだね‥‥」


二週間くらいかな?と言えばデンジ君はグッと抱きしめる力を強めて帰るときはナギサに寄れっと言って髪にキスが落としてくる。

何回もするからそれがくすぐったくて身をよじって腕から抜け出す。


その行動にムッとしつつデンジ君は玄関の近くにある岩に座る。


ポンポンと隣に座るように促されるけど、それを無視してデンジ君の膝の上に横を向いて座り少し上体をひねってデンジを見下ろす形をとる。


いつもはこんな事しないからこれにはデンジ君も驚いたみたいで驚きつつも嬉しそうな表情になる。


「珍しいな」


「たまには、ね」



この行動が寂しいからなのか、ただの気まぐれなのかは分からないけど。




「好き、好き。デンジ君大好き」


呪文のように思いを言葉にして呟く。


「俺も好き、愛してる」

そう返してくれて、嬉しくなってまた好きと繰り返す。


「私も愛してる」
「俺の方が愛してる」
「私の方が愛してるよ」



それから何十回も好き、愛してるって言いあってデンジ君がいきなり真剣な表情になる。


「待ってるから、早く帰ってこいよ?」

頬にキスしながらデンジ君は安心する声色で囁いてきて嬉しくて少し泣きそうになったのをグッとこらえる。

「もちろん。一番にデンジ君に会いに行くよ」


約束、と私はデンジ君の頬にキスをして、お互いに見つめあってどちらともなく唇を合わせた。



暗闇の中の光
まだ暗い辺りが明るくなるまで
二人の時間を共有したい



fin.



20110330修正







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