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ファイア+ダイヤ



「ファイア」

離れたところからダイヤの声がしたのでファイアは辺りをみわたした。夕暮れ時で人もまばら、キャモメの羽ばたく音がファイアの耳に届く。


草むらの向こうに捉えたダイヤの姿に手を挙げて合図すればダイヤは早足で歩み寄ってくる。

「ポケモンセンターに集合って言ったの忘れてたね」
「うっ………悪い悪い」

「遠くに行ってなかったからいいけど何か捕まえたの?」


ダイヤの質問にファイアは首を横に振りわざとらしくため息をついた。

「いやぁ俺のパーティーに入るような奴が居なくてさぁ」
「ファイアのパーティーに入れる野生のポケモンなんていないと思うけど」

鋭い返しの上に表情はファイアの本心を暗に尋ねているダイヤにファイアは心の中で白旗を揚げて話し出した。


「なんかさぁ、野生のポケモン見てるとたまに申し訳なくなるんだよ‥‥‥」
「速攻で倒しちゃうとかそんなふざけた理由じゃないよね」


当たり前だとファイアはダイヤの頭に軽くチョップする。「イタッ」と頭をおさえるダイヤを無視してまた話し出す。

「俺のパーティーだって元々は野生じゃん?それなのに俺が勝手に気に入って勝手に捕獲して勝手に育ててる、全部俺の勝手なんだよなってなるんだ。
俺が捕まえなければ他の道が待ってたのに俺の勝手で道を一つにした‥‥」

そこでファイアは帽子を直しながら一拍おいて話を続ける。


「でもそんな俺に懐いて応えてくれる、そんなこいつらにも申し訳ない」


ファイアの顔はとても寂しそうでつらそうな表情をしていた。そこまで黙って聞いていたダイヤは優しく囁いた。

「確かに私達は勝手だよ、勝手に道を潰してく‥‥でもねポケモンも同じように勝手なんだよ

だからそんな気負いしなくていいんじゃない?」
「でも‥‥‥」


まだ渋るファイアにダイヤは若干眉を吊り上げながら詰め寄る。

「私達とポケモンはgive-and-takeな関係なんだよ。
なのにファイア、君は申し訳ないからって与えることをやめるの?
違うよね、ならする事は一つなんだよ‥‥


心配しなくても大丈夫、ファイアが優しいってことはポケモン達もすぐ分かるから」


数秒呆気にとられていたファイアだったが頭をかきながら苦笑いを浮かべる。

「……………うーん、ダイヤって本当に年下?」
「新米が悩むようなことで悩むからだよ元チャンピオンのファイア」


ダイヤは帰るよ、とファイア笑いかける。ファイアも腰のボールを撫でながら歩き出した。



笑顔でずっと
私達ができる事は笑って共に過ごすこと



fin.



20110314







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