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N→ブラック



「ねぇブラックって恋愛とかしてるの?」
「ぶっ!!」

何気なく、僕が聞けばブラックは食べてたファーストフードのポテトを吹き出しかけた。
あ、指にカスが飛んでる。そう思ってペーパーナプキンを手渡す。

ブラックはそれを受けとって拭きながらギロっとこちらを睨んできた。

「君そういうの、僕が食べてないときに言いなよ」
「まさかブラックが吹き出すなんて思わなくてね。そんなに慌てたってことはいるの?」

にこやかに尋ねれば少し僕に甘いブラックはったく、仕方ないと短く呟いてから。


「いるよ」

そう照れくさそうに言った。


喉に言葉が詰まって出なくなるかと思っていたけど、僕は普通にへえ、だれ?と聞き返していた。

ブラックはそこ掘り下げてくるか、いわねぇよ。なんて言ってきて、僕はそれにまた相槌を打つ。


僕はブラックが好きだ。勿論Loveで、ポケモンに向けてるものじゃない。
それでも今まで言えなかったのは、僕がこの感情の名を知らなかったことと、僕がすでにブラックに多大な迷惑をかけているから。

男から好意を向けられて、気分がいいなんて僕も思わないし、世間を気にするなら尚更。


今までもずっと友達でいたし、そういう疾しい対象にブラックを置いたことなんてないつもりだった。

だから今回、僕がブラックに恋愛について聞くのも、極々普通の出来事であって、それにブラックがいると返すのも、ごく普通の事なんだ。


こんな弁解がましい事を考えつつ、言葉巧みに誘導したせいか、いつの間にか恋愛相談のような会話が成り立っていた。


「えーっと、まあ同い年だろうと上だろうと下だろうと、その人っていうからな」
「うん」

そう前提を置いてから話しだすブラックは、僕が見たことがないほど照れてそれでも幸せそうで、この想いに好きなんてないと実感した。

「――で、一応周りから見ても仲良しとまでは言われるようになったんだけどさ・・・」

「友達以上に意識されないってこと?

それなら何かの行事とかに誘ってそれとなくプレゼントを渡したらどうかな?
ペアものとかは重いからやめたほうがいいけど特別なんだって伝わるかもよ?」

なんてないアドバイスも、僕がいつかブラックにしようとしていた事だから、つっかえることなくスラスラ出てくる。


そんな僕に目もくれず、アクセサリーかストラップか・・・と思案しだす姿にズキンと胸が痛みだす。


「N?」
「っ!!」

どうやら意識が明後日の方向に向いてたらしい。ブラックが心配そうな顔で僕を見てる。
大丈夫だよ、君の恋をいい方向に進める方法を考えてた。と嘘をつけば、ブラックは少し照れくさそうにしながらありがとう、それでプレゼントなんだけどと自分の考えを口にしだした。

この胸の痛みに、気付かないようにしながらその話に耳を傾ける。




話し込んで気づいたら、いつのまにか日が沈んでいた。

「ホワイトやベルとか女の子の相談相手もいるだろうけど、僕でよければ相談に乗るから」

帰り際に笑いながら言うと、ブラックは柔らかく笑いながら。


「今度はお前の相談に乗ってあげるよ、今日たまに暗い顔してただろ?」


そう、言うだけ言って彼は夜の空に飛び立っていった。



あっけにとられていた僕だけど、ついに堪らなくなって膝を抱えるようにしゃがみこむ。

気付いてくれていた、嬉しい。


こんなに優しい君に好きになってもらって気付かない人が羨ましくて、好きになってもらった人が恨めしくて‥‥


このまま、君の前では暗い顔をしていようか。
いつか君の好きな人の前でも、今日みたいに君は僕の心配をしてくれるだろうから。




優しさにおぼれる
一番なんかじゃないのに
君の優しさを利用する

ずるい僕をどうか許して


fin.



20101213→20111223修正







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