リーフ+ファイア
*特殊設定注意
「あれ?俺どうしたんだろ」
俺がいたのはただ広い白い空間。
なんで?俺は確か‥‥‥えーっとなんだったっけ?
「思いだせないよ」
声に後ろを向けば器用に宙に浮いた俺とどこか似た印象をもつ少女がいた。
「だれだよ」
「私はあなたであなたは私。分からなくてもそれが現実なのよ」
ここには私達しかいない、いつか私達も消えてしまうかもしれない。
うわごとのように言う様はとても儚かった。
「良くわかんないけど、まあよろしく」
少女は嬉しそうにはにかんで私はリーフよ、よろしくねファイア。そう挨拶してきた。
それから俺達は昔から一緒にいたみたいに遊んだり離したりした。
お互いこの空間にいる前のことは何も覚えていなかったけど話のネタは尽きなかった。
どれくらい時間が経っただろう、いつからかリーフが暗い表情をするようになった。
ときどき遠くを見てはほぅと一息ついてまた暗い表情をする。
俺は良く分からないけどリーフには笑ってほしかったから俺は笑ってまた話しかけた話しかければリーフは笑うからそれが俺をだましているとしても、それでも良かった。
それからまた少したってから世界に光が満ちてきた。
いたるところで光の球が出てくる。
こんなこと一度も見たことなかったからリーフを探して走る。
いない、そこまで広い世界じゃなかったはずなのになんでいないんだろう。
「リーフ!」
やっと見つけたリーフは涙を流しながら俺を見ていた。
「やっぱり今回もファイアを選んだよ」
だからもうこの世界は閉じちゃうの。
「どういうことだよ!!」
リーフの肩を掴むとリーフの体から光があふれてくる。その状況に肩を震わせるとリーフが口を開いた。
「そうだね、もうこの記憶も無くなっちゃうから教えてあげる。
私とファイアはね、あるシステムのデータなの。
そのシステムは私かファイアの片方しか選べない。
ここはね、システムが起動する前のデータの集まる場所なのよ。
そしてこの世界が消えることはシステムの起動を意味してる。
ファイアが選ばれたら私は消えちゃうの無用なプログラムは一時凍結されてね」
一区切りで言い切ったリーフはこれはね、二回目なのよ。
前のシステムでも私は選ばれなかったの。悲しいよね。
「そんな・・・・じゃあ俺はここにいたい!!」
「駄目だよこの運命から逆らえない。
だから、私の代わりに楽しんで?
記憶がなくなっても私は、あなたの中にいるから」
俺を優しく抱きしめながらゆっくりとお願い、といって彼女は光の球となって儚く消えていった。
「リーッ、フっ・・・ぅ・・」
包まれた感触が消えた事をじかに感じながら、感情をむき出しにして声をあげて泣く。
そんな俺を、無情にも光が包み込んでいく。
いやだ、俺はここにいたい。
生まれ、たくない。
無慈悲な神の遊戯
「いってらっしゃい立派なトレーナーになるのよ」
どうして母さんの激励が、旅に出ることが、こんなに悲しいと思うんだろう。
けど、楽しんでと誰かが言ってた気がするから。
俺は今日、旅立ちます。
fin.
20101121完成→20110330修正