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ゴールド×シルバー



「頼む!!」

「ふざけるな」


普段静かな竜の穴、その中で1時間近くこのやり取りを続ける少年達。


ゴールドはそろそろ限界といった風に大声をあげた。

「だーかーらー!!母さんに留守番頼まれて色々手伝いしなきゃいけないのに運悪く右手怪我して出来ないことがあるんだよ!!」

「そのくらいの怪我で出来ないことなんてあるか」

「ある!!水仕事は勿論、正直掃除機を長時間持つことすら困難なんだよ!」


ビシッと右手を突き出し力説するゴールド。
右手の怪我は先日山を散策していたときに出会った子供が土砂崩れに巻き込まれそうになったところを間一髪で救い出した時に土砂に紛れた木の枝でザックリ切ってしまったのだ。

子供を救い出した名誉の負傷なのだがいつも心配してくれている母親に頼まれたことを出来ないのは由々しき事態だとシルバーに頼みに来たのだ。



だが肝心のシルバーは頑ななまでに断ってくる。

その姿に痺れを切らしたゴールドは自棄になった声をあげてリュックを地面に投げる。

「ああもうわかったよ!コトネに頼むから!」


コトネ、という単語にピクリと反応したシルバーに気付かず危なっかしく左手でポケギアを取り出しコトネの番号を検索しだす。

しばらくしてやっと見つけ出した番号に通話ボタンを押そうとする。



しかしさっとシルバーにポケギアを取られてしまった。

「は?」


ゴールドは人のポケギア何勝手に奪ってんだ、やさっさと電話させろ。そう文句が喉まで出てきたが普段あり得ない事態にポカンとしてしまった。


そんなゴールドを後目ににシルバーは手早くポケギアを操作し最終的に電源をオフにした。

ポケギアの電源が切れる独特な音を聞いたゴールドははっと我に帰りシルバーに喰いつく。

「てめっ、何すんだ!」


しかしシルバーは答えずに手早く振り返り竜の穴から出ようとする。

無視かこの野郎上等だ、それよりポケギア返せと意気込みながら立ち上がるとシルバーがこちらを振り返る。



「何してるノロマ、さっさと行くぞ」

「あ?」






さっさと行く?何処に?


「まさか家来てくれんの‥‥?」

「それ以外にここを出る理由なんかない」



ふいっと振り返り先へ先へ洞窟を出ていくシルバーにリュックを手に取り。


「まったく、素直じゃねーな」


そういって帽子をかぶりなおしてから走り出す。少ししてから追いついた背中に向かって声をかけた。


「シルバー!!好きだぜ!」

そういえば勢いよく振り返るシルバー。

「黙れっ!!」


赤面しながら歩くスピードをまた速める。ゴールドは楽しそうにそのあとに続いた。


「俺もだ」


シルバーが小さくもらした本音をしっかりと耳にしながら。



You are awkward
不器用なりの愛情表現


fin.


20101102完成→20110330修正







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