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カントー組


シロガネ山の山頂付近の洞窟の前に立つ三人の影。


「ねえファイア、いつも思うけどなんでレッドさんここでトレーナー待ってるの」

体を縮め露出した腕をこするリーフはこの猛吹雪の中くしゃみの一つもしないファイアに訪ねた。


「しらねーよ、兄貴―!!かわいい後輩+弟が来たぞー!!」

「あ、かわいい後輩に自分は入ってないのね」

「入ってたらただのナルシストだろ・・・ズビッ」


鼻を啜りながらファイアに悪態を吐くアクアはリーフよりも寒そうに顔を真っ赤にさせていた。

「ああ?てめえに言われたくねーよナルシスト野郎」

「言ったなファイア!!」


「ねえ‥‥ピカチュウの雷とエーフィのサイコキネシスで上空に放り投げられるの、どっちがいい?」


喧嘩が始まる直前にいつのまにか洞窟の入り口の少し奥に来ていたレッドがそういうと二人は行動をピタリと止め同時に口を開いた。

「「すいませんでした!!」」






「すいません、アクアがファイアに突っかかったせいで・・・」

持参のカップにココアを入れて四人で焚火を囲んで談笑を始める。


「………いいよ、昔のグリーンみたいだし」

レッドは差し入れのポケモンフーズを食べさせつつ答える。


グリーンという単語にファイアはあ、と声を出してレッドに向き直る。

「そういえば今日グリーン兄ちゃん荷物持ってここ来るって」


今週は兄ちゃんの番だから。

グリーンとファイアは山に籠ったレッドを最初こそ引きずってでも連れ戻そうとしたがてこでも動かないレッドに呆れつつ今は週交代で食料と消耗品を届けに来ている。

リーフとアクアは寒さに弱い体質らしく当番には入っていない。


「ふーん、グリーン来るんだ‥‥‥五月蝿くなるな」



「悪かったな五月蝿くて」

四人が振り返ると入り口からコツコツと音を立ててグリーンがやってきた。手には食料の入った袋を持っている。

そしてレッドの横に来るとしゃがみこみ袋の中を次々と取り出していく。

「ほら、これで足りるか?」


レッドとファイアはこの対応になんとも思わなかったがアクアとリーフは五月蝿いといったことに怒らないのかと脳内で疑問をこぼしていた。


「うん、足りると思う」

「足りなかったら俺かファイアに連絡しろよ」

「前みたいに雪食べて生活しないでくれよ兄貴」


ファイアが釘をさすと頑張ると小さく呟くレッド。


「で、ファイア達はなんでここにいるんだ?リーフ達は特に寒いの駄目だろ?」

グリーンが3人に尋ねるとリーフが代表して口を開く。

「それはレッドさんに最近会ってなかったからファイアにどうしてる?って聞いたら」

「俺に聞くより会いに行くか?って言われて」

「連れてきました―」

順々に説明していく3人をほほえましく思いつつも二人とちがい楽しそうなファイアにため息をつく。


「知ってるかファイア、それはいじめだぞ」

「知ってまーす、知ってるからこそやってるんでーす」


語尾を伸ばして反省の色を見えないファイアにグリーンはこいつシロガネ山に放置しようかと考え駄目だこいつレッドの弟だ、半袖でこの吹雪の中過ごせる人種だ。

とそれを思い出しどうすることもできないと察した。


「グリーン、ファイア」

レッドに呼ばれた二人は何だと聞き返すとレッドは無表情だが嬉しそうな雰囲気を出していた。



「なんかあったかいね」

そして自分達を蚊帳の外で口喧嘩をするリーフとアクアを眺める。

グリーンはおう、と短く返事を返しファイアはまた嬉しそうにアクアとリーフの間に入って行った。




雪解けの音、春来たる



fin.



20101003完成→20110330修正







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