PKMN | ナノ






♂主N



ライモンシティの入り口で老人を襲っていたプラズマ団を返り討ちにしたはいいが、そのあとに捕まえたほうが良かったのではという考えに駆られたブラックはプラズマ団の向かったであろう遊園地に足を踏み入れた。


しかしそこで待っていたのは隠れるプラズマ団ではなくあのNという青年だった。


「やあ、プラズマ団を探しているの?」

にこりと上辺だけの笑みを浮かべるNにブラックは至極興味なさそうにぶっきらぼうに答える。

「探してるけどあんたは知らないだろ?知ってても教えてくれるとは思えない」


そういわれると酷いな、と苦笑する。


「プラズマ団ならこっちだよ」

そうブラックの手を引いて遊園地の奥の観覧車の前へ向かう。
夜の遊園地は案外人気がない、端から見れば路地裏に連れ込まれる人間みたいなんだろうな。

そう思いながら引っ張られてやって来た観覧車の前には人はおらず、Nもキョロキョロとあたりを見渡してから観覧車を指す。


「観覧車から探さない?」

そう言って観覧車の入り口に勝手に進むNはとても楽しそうだからなんだかこちらが諦めなければいけない気がしてため息一つ。


「何考えてるかは知らないけど、乗ってあげるよ」

「いつも思ってたけど上から目線だね、構わないけど。さあ乗って‥‥‥」

Nに押されるように乗り込んだブラックは席に座りNはブラックの正面に座り込んだ。

扉が閉められてからお互い動こうとせずにいるとNがやっと本題に入る。


「探す気なんてないね。まあいいや、最初に言っておくよ。

僕がプラズマ団の王様」


Nがそういうと下を向いていたブラックはじっとNを凝視した。

ブラックとしてはNのいうトモダチの解放なんてどうでもいい。
けれど自分と大差ない歳の人間がそんな大義を掲げてあんな暴力集団の頂点にいるそれが分からなくて考えが頭を走る。


「聞いてた?」

そう訪ねたNに質問を返した。

「なんで今その話をしたかが分からない」


覗き込んできたNから視線をそらして返事を待つ。


「君は僕の考えを否定しなかった。
ねえ、一緒にトモダチを解放しない?」


返事を聞いた瞬間ガンッと頭の中で何かが壊れる音がして気づけば勢いよくNの襟をつかみ上げ座席に押さえつけていた。

ぐらりとゴンドラの重心が崩れてグラグラと揺れ始める。


それも気にせずブラックはなるほどこれが反射か、と頭の隅で冷静に思いながらことの次第を理解しきれていないNに吐き捨てる。


「つまらない」


え、呆けた声を出すNはと状況を把握しきれていないようだが構わず続ける。

「そのトモダチトモダチ言ってる君がむかつく」


なんで目の前の僕を見ないでポケモンをみる。

そんな些細なことが苛立ちを募らせる。


「僕は君の仲間にはならない、でも」


スッと目を細め、Nの耳元に顔を近づけてゆっくりとささやいた。



ー君が僕以外考えられないようにしてやるー


顔を離しても未だに固まっているNに愛おしそうに優しく口づけた。





宣戦布告
トモダチなんて言わずに僕に堕ちろ


最後に墜ちるのは僕か君か



fin.



20100928完成→20110330修正







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