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マツバ×ハヤト



エンジュシティの中心から少し離れた場所に立つ屋敷の縁側で、マツバは読んでた本から視線を上にあげる。

つい最近までは猛暑が続いていたのに今はすっかり秋に染まっている。
染まっているといってもまだまだ紅葉した葉が空に舞うまでではない、すこし黄色がかってきたくらいだ。

そんな庭の木を見てマツバは笑みをこぼす。



鈴音の小道の紅葉も素晴らしいがいろいろな人が見ることができる街の木々の紅葉や庭の紅葉がマツバは好きなのだ。

今年も紅葉狩りにやってくるだろうジムリーダー達やトレーナーを考えながらうっすらとやってきた眠気に困ったように少し眉をひそめてから笑い柱に身を任せた。



「マツバ―?」

それから数十分後に縁側に顔を出したのマツバの同僚であり恋人のハヤトだった。


返事がないことを疑問にもちながらマツバに近づき動く気配のないマツバの顔を横から覗き込む。

「‥‥寝てるのか」


そう呟いてから隣に座り周りを見渡し人がいないことを確認してからマツバをじっと観察しだした。



「なんか……」


マツバって案外たれ目気味なんだな。
実際たれ目なんだけど目を閉じてるとさらに分かりやすい。
こう見てると猫とか動物っぽいって言われてたのもうなずけるな。

それになんかこの景色を邪魔しないで溶け込んでて綺麗だな………

でも手とかは大きくて男って感じで、あの手でつかまれるとドキドキしてうれしくなって……

手だけじゃなくて今は閉じられてて見えない紫の目で見つめられると魅せられるって言葉がぴったりな感覚になるし‥‥


そこまで考えたハヤトははっとしてあわてて片手で顔を覆う。


俺はなんてこと考えてるんだ!!ノロケみたいじゃないか!


一気に恥ずかしさがこみあげてくる。

誰かに見られていないとしてもそんなことを考えた自分が恥ずかしい。
恥ずかしさに任せて空いている片手で床を叩く。


ガタンッと一際大きい音が周りに鳴り響いた。


「ん・・・」


マツバが一瞬身動ぎしたことにびくりとハヤトは肩を震わせるが結局おきることなくマツバはまた規則正しい寝息を立て始めた。


その様子に一安心しながらも今日はマツバの顔をまともに見れないと感じたハヤトは光の速さでその場を立ち去っていった。


帰る途中女中さんに変な目で見られたが気にしない。屋敷を出た瞬間にダッシュでポケモンセンターに向かう。




「ハッ、ハァ・・・・」



ポケモンセンターにつき息を整えながら預かってもらっていたピジョットを受け取り外に出てからピジョットにまたがってキキョウを目指した。


20分程度たった後キキョウについたハヤトはピジョットをねぎらいながら先ほどの考えを思い起こす。


考えていたことは全部事実だし伝えたほうがマツバも喜ぶと思う。多分。


でも今は言うことなんてとてもじゃないが出来ない。


それでもいつか、きちんとこの気持ちを伝えようと心に決めた。





無限大の愛をあなたに
それまでは待っていてください



fin.



20100903完成→20110302修正







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