現在進行形 | ナノ
>> uneasying you





こんにちは。浪速のスピードスターです。世間一般の言う倦怠期と言うのがやってきたのか何なのか、最近彼女が冷たいです。なんでやろう。一年ぐらい経つけど、ちゃんとクリスマスも会ったし、ホワイトデーもプレゼント郵送したし。喧嘩とかしたことないし…。こういう事は小春とか白石とか千歳が一番頼りになるんやけど、なにぶん、秘密にしているもので相談なんてできない。


「って訳なんや、財前どーおもう?」
「……」
「無視か!」
「…謙也さんの思い込みかもしれないじゃないすか」


財前が奈緒とメールしたりしていても、そんな雰囲気は全くないらしい。思い込み、なんかな。


「せやかて、財前見てくれや」


それは彼女からのメール。







「あー奈緒らしい……」


正直、この返事が来た時に凹んだ。なんか、今までにない反応だったから。


「このメール、俺的に…」


カコカコと自分の携帯で何かを打って見せてきた。財前の解釈で、このメールを再表示してみた、らしい



うん。
わかったぁ(*´ω`*)



確かにこっちのメールはいつもの奈緒っぽい。


「このメールの時間帯、子供の昼寝の時間なんですわ。眠かったんちゃいます?」

「あー…」


たしかに。確かにたしかに。あの子かなり寝る子やったわ。妙に納得できる自分がいる。


「てか、いつの間に呼び捨てに…!俺の特権!」

「奈緒がそれでええ言うたんですわ。特権とか面倒くさ…」


ふっと小馬鹿にしたように財前は笑った。うん、いつも通りの状況。でも呼び捨てになっているとか、なんか、嫉妬。あー…こんなちっぽけな男なんか、嫌われるよな。やからあんなに素っ気ないんかな…


「まぁ、それは置いといて。付き合っとるんやったら直接聞けばええと思いますよ。ほら。」


ずいっと差し出された財前の携帯には"奈緒"の文字。呼び出しちゅう。握らされて、耳に当てる。今の時間、大丈夫なんか?放課後やろうけど。あ、ちなみに俺らは今日部活がオフの日だからゆっくりしているのだ。


"もしもし?"



何時もより控えめな声色が聞こえた。何故か懐かしくて嬉しくて胸がいっぱいになって、何も言えなくなってしまう


"光、くん?どうしたん?あの、今、学校…なんやけど"


「…#なまえ#?」

"え、謙也!?なななななっなんで"



少し、電話の向こうが騒がしい。その中でも彼女の声は俺の耳に入っては染み込んでいく。


「いや、その…」

"?"


「好きやで」


間。
奈緒ー?と周りの声が耳に届いて、ぎゃいぎゃいと騒いでいる。真っ赤やーん。彼氏やろー?とか。どうやら奈緒は照れているらしい。


"けん、謙也?…っその、わ、わた、私も、好き"



あーうー、と唸りながらもごもごと言葉を紡いだ。ああ、愛されてる。なんて感じる俺は相当幸せなやつだと思う。少しでも不安を感じたのは確かだったけど、彼女と別れる、とか有り得ない。絶対に有り得ない。そう思えてしまう。自惚れだったとしてもいい。俺はきっと奈緒を手放したりしない。愛してる。


「愛しとる」

"っ…う、あ、うん"


「ほんまに」

"き…今日の謙也変っ!馬鹿!照れるやんかぁぁっ!!"



ブツッ ツー ツー


「なっ、き、切った…!」

「…けーたい」


如何にもイライラした様子で財前が手を伸ばして俺の手から携帯を奪った。あ、財前の携帯やったんや。忘れとった。


「ほんまに、聞いてるこっちが砂糖吐きたくなる…うざ。リア充爆発」

「真面目な顔でひどっ!」


鬱陶しいから俺を巻き込むな、と財前は俺に釘をさす。次こんなことになったら白石達にバラす。と脅された。それだけは奈緒にも迷惑かかるし、何より俺が白石達に奈緒を見せたくないだけだけども。兎に角、ダメ。絶対!


「だいたい、奈緒が謙也さんと別れるとか有り得へんと思いますよ」

「え、」


ほんだら、さようなら。と俺に背を向けてしまった奴の背中を見ながら、さっきあいつが言った言葉を頭の中で反復して考えた。俺と、奈緒が別れるわけ、ない。そう財前は言ったのだ。どうしよう。なんか、嬉しい。

ポケットの中で携帯が震えた




―私のほうが
世界で一番愛してる




画面に表示された、絵文字もない、たった二行の文章なのに、俺はそのメールを保護設定した。





不安なんて吹き飛ばせ!




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