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八通目 [ 8/8 ]





議題。私の好きなタイプについて。なんでいきなり?いやぁ、謙也に聞かれたからだよ〜。今は謙也んちでまったりタイム(ユニバーサル行ったけど入り口から列が凄くて、我慢できなくて帰宅)私の好きなタイプとか、何に使うの。でも私の脳内会議は進行。とにかく、謙也みたいに優しい人。あと、謙也みたいに笑顔がキラキラしてるひと、謙也みたいに私を受け止めてくれるひと、謙也みたいに面白いひと、あれ?なんか謙也じゃん。まんま謙也じゃん。議決、謙也みたいな人。


『好きなタイプわかった!』

「で、どんな人」

『謙也(みたいな人)!』
「ブッッ…」


口に運んでいたジュースを吹き出すギリギリの所でこらえて、謙也はコップを置いた。え、私何か変な事言ったんかな。いや、普通に普通の事返したし。


「…なぁ」

『う?』

「………………………………好き」

『…い?……いぃぃぃ!?』

「こっ、答えはいらんから!」


え、今のは告白だと受け取って良いのだろうか。謙也は耳まで真っ赤にしてクッションを抱きしめて顔をうずめて居る。え、好きって事は、謙也は私と恋のABCしたいって事だよね。


『謙也!』

「あーっ!言うな。返事はいらん!」

『こんな私やけど、よろしくお願いします』





【謙也side】



思わず口にした"好き"。奈緒が愛だの恋いだの言うタイプの子じゃないのは分かっているから、好きがちゃんと伝わっているのか不安な所だ。


「友達、じゃなくて…なんやけど」

『うん』

「…ほ、ほんまに分かっとるん?」

『わかっとる!謙也とならキスもそれ以上も大丈夫やもん』


全てを理解して言ってくれていると言うのは分かった。ただ、現実味がない。両思い、だなんて。嬉しい。机を挟んで向こうに座る奈緒を抱きしめたくなって、移動。ぎゅうぅぅぅっと抱きしめると、同じようにぎゅうぅぅぅっと抱きしめ返された。かわいい反応。すりすりとすり寄る姿はまるで犬。俺だけの犬やけど。


「ほんまに、好き」

『私も謙也が一番すき。』


謙也が居れば他に何も言らないなんて言葉をサラッと零すから、やっぱり天然は厄介だ。


「俺、奈緒が思っとるような優しい奴やないかも」

『ん?』

「抱きしめたまま、閉じ込めたいとか、大切にしたいのに壊したいとか思う時もあるし、ヤキモチやっていっぱい…」

『そんなん、私やってするし。』


謙也謙也謙也ーと俺の名前を呼びながら抱きつくなんて、反則。レッドカード退場。頭を撫でると少し顔が上を向いたので、その隙を狙って頬にキスをした。


『あう…!き、キス…』

「次会ったらコッチな」

『ぅ…』


照れて抱きついてきたけれど、俺に顔をうずめてから、少し控えめに頷いたのがわかった。こんなかわいいのに、別の土地に野放しにしていたら変な虫が付くんじゃないか?あー家に帰したくない!それより俺に彼女できたとか白石達に言ったらいじられるの分かっとるし、あ、財前は黙っといてもらわないかんよな。そんな事を考えていた時だ。部屋の扉が開かれた


「にーちゃん、光くんが……」

「……」

「翔太今見たことは心の奥に閉まっとき」

「……おん」


手にお菓子やジュースが入った買い物袋を持った財前が部屋に入ってきた。持ち物からして遊びに来たやろ。


「あ、奈緒に呼ばれたから来ただけっすよ」

「呼ばれた?」

「メールで、暇なら一緒にって」


普段ならそんな事言われても動じないくせに、こんな時だけ素直になって。さっきから奈緒が静か?財前に言われて気づいた。俺に抱きついているまま微動だにしない。よくよく観察してみれば寝ていた。え、寝るの速ない?さっきまでええムードやったのに。


「その様子やと、できちゃったんすか」

「その言い方はなんか語弊あるけどな。あ、横取り禁止。」

「……分かってますわ」

「その沈黙が不安なんやけど。白石達にも内緒の方向で、めんどくさいし。」


それは素直に頷いてくれたがなんだか不安なんだが。とにかく、財前公認カップルに昇格しました!ユサユサと揺すって奈緒を起こして財前が来た事を知らせると、目が覚めたようで、財前に飛びついた。

ああ、離れてる間が不安。




Coupling You





end

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