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七通目 [ 7/8 ]





明日、急遽ミーティングらしい(ノ_・。)
8時に部室集合



夕方、遊び疲れて俺の家に帰って二人でゲームをしていたら、白石から届いたメールがこれである。マジ切ない。ミーティングって事は午前中だけだろうけど少しでも一緒に居たい俺としてはショック。取りあえず何時まで掛かるかを聞けば、10時前には終わるらしいから大丈夫か。大抵の店は10時開店。大丈夫、大丈夫。


「明日は、10時ぐらいから出掛けよか」

『うん、私はいつでも〜』

「あ、学校の近くに善哉がうまい店あるんやけ『行くっ』


言い終わらないうちに返事が返ってきた。目をキラキラ輝かせて、ほんまかわええ奴。


『私が、謙也の家までこようか?』

「あー…俺、明日朝ミーティングが急に入ったんや。やから迎えに行く」
『え、でも学校の近くなんやろ?今日教えてくれたけん学校分かるよ。』

そんなん危ないやろ!と言いたかったがうざいよな、そんな事言いよったら。でも学校の周りとか変な奴が学校にはいっぱい居るんやから危ないし、他の奴らの目につくのは嫌だ。ナンパとかされたらどうするんだ。


『迷わんと思うし、大丈夫!な?』

「…ほんますまん。でも、これだけは守ってや。集合は10時。変な奴らに声かけられたら直ぐテニスコートに来ること!」

『テニスコートの場所知らんもん』

「校門くぐったらすぐわかる」

『りょーかい!』


ほんまにほんま!?と確認したくなる。天然っていうか、なんかフワフワしてるから尚更不安。俺の寿命縮むぐらい心配や!

そんなこんなで今日になったわけだが、ああ、心配。ミーティングは今度ある合同合宿の話だった。突然決まったことらしいから仕方ない。オサムちゃんが真面目に話をしないから白石が代弁。この調子なら普通に10時までには終わる。よかった。待たせないで済ませそうだ。時計を気にしながらソワソワする俺を不思議に思ったらしい財前に鬱陶しい。と一言で一刀両断された。でも全然気にならないぐらい心配だった。


「あーうざ。部長早よ説明終わらせてください。謙也さんがソワソワしてウザイ」

「こら財前。ソワソワしとんのはいつもや。」

「何でもええから早くしてくださいよ。暑い帰りたい」


暑さで財前は何時もよりイライラしているようだった。そんな財前を見かねたように白石は話を切り上げて終わらせた。10時まで後10分。話が終わるとすぐに部室から出た。こいつらに奈緒の事バレたら面倒だからだ。一刻も早く学校から奈緒を連れて離れたい。校門までいくと、近くの日陰に座った奈緒を発見した。ヒラヒラと手を振っている。


「早かったんやな!待った?」

『んーん。ちょっと前に着いたとこ』

「なら良かった。んじゃ、行くで。善哉」


さり気なく出した右手。さらっと出したように見えて実は自分の中ではちょっとした葛藤が…。俺の手をぎゅっと握った彼女の手によって不安はなくなって逆に、手を握っている彼女がかわいすぎて逆に心臓痛い。


『楽しみ!』


何も考えて無さそうな無邪気な笑顔!和む。そこまで距離が有るわけではないその店には直ぐに到着した。あらー謙也君やないのーと絡んできたいつものおばちゃん。奈緒を見て意味深な笑顔を見せたので、口止め。自分でいつか言うから黙っといて!と言うと、高笑いの後に青春ねーと言われた。


『…うま…』


スプーンを握って、かなり美味しそうに食べるので、つい俺まで笑顔になる。


『今まで食べた中で一番!』

「ははは。俺の後輩に善哉好きな奴居ってな、そいつもここの善哉好きやねん」

「それ、俺っすか」

「……うわぁぁぁぁぁぁっ!!」


ガタガタガダと椅子ごと倒れた。奈緒が楽しそうに笑っている。え、何?まさかのタッグ!?俺の座っていたところに隣の椅子を持ってきた財前は、おばちゃんに冷やしぜんざいを注文した。さらっと現れて当たり前のように居る。椅子を立て直して、財前の横にすわった。財前は善哉を頬張る奈緒を見ている。


『…あ、はじめまして。』

「ども」

『謙也の後輩さんやんな。』

「まぁ」

『浪越奈緒です。』

「財前光」


お世辞にも愛想がいい訳ではない財前に、ニコニコと話しかけてコミュニケーションを取る彼女は凄い。どんなふうに答えたってニコニコニコニコ。和む(二回目)。財前の善哉を運んできたおばちゃんにも、凄く美味しいです!と、ニコニコニコニコ。人当たりがええのも奈緒らしい。


「奈緒さんは何処高校?」

『あ、私大阪の人ちゃう』

「…まさか、間違いメールの…」


かなり前の事なのに財前は鮮明に覚えていた。まぁ、間違いメールの原因の半分は財前やからな。


『光君やろ?私とアドレス一緒やったん。もしかして誕生日7月20日とか?』

「一緒みたいやな。なんとなく予想はできたけど」

『凄い偶然やなー!』


なんだか意気投合して、あの財前が女子と笑いながら話をしているのを見ると、なんか面白い。奈緒には人を引きつける何かがあるのではないか。でも、二人だけが仲良くしててイラついた。暫く2人は話ていたが、空気を読んだ財前は食べ終わると直ぐに帰る支度をした。


「じゃあ俺はこれで。」


ええ子、捕まって良かったっすね。と帰り際に耳打ちされたが、なんだかそれが下克上宣言のようでドキッとした。全くだ。






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