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五通目 [ 5/8 ]




『はいはーいっ!今日はすんごいお知らせー!』

"テンションたかいなぁ"


『あ、謙也今何やっじょん?電話大丈夫?』

"ははは、大丈夫。で?何?お知らせって"


『あ、私!夏休みの間に大阪いく』


そう、私は夏休み、甲子園をみたいと張り切る親と一緒に大阪に行きます!甲子園ついでに大阪観光です。無論、あっちについたら単独行動あるべし!なんだけど。運が良かったら謙也に会える。ということですんごいワクワクしているのだ。謙也は私に会いたくないかも知れないけど…なんてネガティブシンキングなんて私のキャラじゃないので知りませーん。


"えっ!マジ!?せやったら俺が大阪案内したるよ!"


『ほんまー!ありがとー謙也大好きー!』

"…………"


『え、謙也?もしもーし』


ま、まさか私に大好きなんか言われたから嫌で何もいえないとか?くうっ…さ、さすがにへこ、むぜ…。


『謙也、そんなに私の大好きがいややったん…』

"アホッ!そんなわけあらへんっ…て……"



間髪入れずに言葉が返ってきて嬉しかったです。言葉の最後の方はよく聞き取れなかったけどまぁいいや!謙也に否定されたら私のダイヤモンドハートが砂みたいになる所だったよ!ありがとう謙也、私たち子供の夢守ったよ!(ごめんなさい適当につっこんでください。)


『謙也っこんな私を受け止めてくれるのは謙也だけやっ!愛しとるっ!』

"…っあー!!もう!奈緒!"


『ん?』

"俺かて男やねん。そんなこと軽く言うたらあかん!"



【謙也side】

期待するやんけ。仮にも好きな女にそんな、大好きとか愛してるとか言われたらたまらんやろ。奈緒のことだからこれが計算な訳ないし、天然って一番厄介や。


「まさか、他の男にも…」

"言わんわ〜。だって男で連絡取るの従兄弟ぐらいやもん"


「私生活は!」

"同じクラスの男子の名前すら覚えられない私が!"



ならいい。なら。って言うかこんなん聞いたら俺が奈緒のこと意識しとんバレバレ…うわぁ俺ダサい…。


"私が認識する男子は謙也だけやで"



あかん。この子。ほんまにハート泥棒や。こんなに可愛いのに彼氏居らんとか、奈緒の周りの男の目節穴所が頭の後ろまで貫通してめっちゃ風通しええんやろうな。ま、俺としてはそっちの方が好都合なんやけど。


『…奈緒は俺の100%や』

"っ…!!なっ!け、謙也のハート泥棒っ!ときめいたやん!



なんかデジャヴ。さっき俺が思ったことをまんま言い返された。なにげに俺達気が合うみたいだ。夏休み中に会えるのか。楽しみだ。甲子園のついでだから後2、3週間後には会える。長い間やりとりをしているくせに未だお互いの外見を知らないのは珍しいかもしれないが、そういう方がワクワクするから楽しい。


「で、何日ぐらい?予定開けとく。」

"甲子園の初日見に行くらしいから、来週かな"



初日って、話によれば両親は開幕式が見たいらしい。ほんまになんていうか、その親にして奈緒あり。みたいな。来週か…今んとこ予定ないし大丈夫やな。まぁ、遊び誘われても断るけど。楽しみ。今からドキドキしてヤバい。なんちゅーか、エクスタシー!って白石か!


「まぁ、また詳細は連絡してや」

"うん!私、謙也と会えるの楽しみやぁ!"


「俺も楽しみ」

"あんな!行きたいとこ、結構あるん!"


楽しそうにユニバーサルに行きたいとか、たこ焼き食べたいとか言っているのがまた可愛い。さぞかし美味しそうにたこ焼き食べるんやろうな。


「奈緒どこ住みやっけ」

"うどんの名産地!"


「え、まじで」


四国の香川やったらそんなに離れてないし、結構こっちに滞在できるんやん。地味に嬉しかったりする。白石や財前にバレんように、いかにしてデートするかが問題やな!てかあいつらにバレんようにするのとかむりかも…いっそのことデートやから邪魔すんなって行った方が安全か。いや、でもあいつら絶対野次馬みたいに見にくるやろ。あーほんま奈緒に変な奴やと思われたらどうしてくれるんや…。はぁ。


「なんや、案外近いんやな。」

"えーでも遠いわー!だって瀬戸内海挟んどんで?"


「うん?」


基準が海を挟んでいるからって言うのがまぁ、かわええ。あーもーっ!好きや!これ以上好きにならさんといて!と彼女に言えたらどんなにいいか。多分、奈緒が初恋やし。もーあかん。






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