short | ナノ




今まで見たことがなかったような謙也をこんなに間近で見るだなんて、私にはとてもじゃないけれどハードルが高かった。
激しいキスを求められた事でさえ、胸が痛いほど高鳴っていたというのに。





─────
───




ベッドの上に優しく寝かせた名前は顔を赤らめて男を誘う瞳をしていた。俺のシャツを握る手をそっと取って自分の頬に沿わせた。ちゅ、ちゅ、と軽くキスをしたりして、左手は名前の頬に重ねた。


「愛してる」
「わ、たしも、…」


ふいっと目線を外して顔を横に向けてしまった名前の、隙が出来た首筋に吸い付いた。ぴくっと反応した名前は、必死に声を押し殺しながら涙の浮かぶ瞳で俺を見た。


「名前」
「え、っわ…」


着ていたシャツを脱ぎ、ベッドの下に投げた。衣服のすれる音が此処まで二人の呼吸や鼓動を際立たせるものだとは知らなかった。上半身裸になった俺を見て、名前が頬を赤らめた。恥ずかしさから顔を隠してしまおうとする、その華奢な腕をベッドに縫い付けた。かぷ、と先程舌を這わせた首筋を甘噛みした。名前の利き手だけを押さえつけて、ようやく服の下への侵入を果たした。


「んっ…っ」


こういう時、制服は脱がしやすい。前開きのシャツのボタンを全開にして、スカートのホックまでついでに外した。下着の締め付けを無くした小ぶりな胸はすでに主張を始めていて、包み込むように手の中に収めた。


「ぁ…謙也…、」


左胸の谷間に近いところに黒子を見つけた。白い四肢の中に一つだけあるそれは、妙にいやらしかった。


「黒子、なんかヤらしいな」
「っ〜…!ば、ばか!」


また照れて顔を隠そうとしたが、それを許さなかった。可愛いと耳元で囁いてやると、さらに頬の赤みが増した。胸への愛撫を再開すると少しずつ声が漏れはじめて、それを堪えようとして下唇をかみしめる様子が俺を熱くした。すでに張りつめてきている下半身にはかなり毒だった。


「っ、…あ、ぅ、〜…っん」
「我慢せんでええよ」
「や、…なんか、駄目…恥ずかしい」


これからもっと恥ずかしい事をすると言うのにとは流石に言えなかった。名前の頬に優しくキスを落としてスカートに手をかけた。下着だけを残して脱がせ、その上から秘部をなぞると濡れて居るのが分かった。羞恥で目をきつく閉じた名前の瞳を開かせるために頬に触れてキスをした。


「名前、呼んで…」
「…ん」


下着を脱がせて再び視線を通わせた。


「謙也…っあ!」


十分潤いのあるソコに傷つけないようそっと指を挿入した。異物感に耐えられないとでも言うかのように、逃げようと無意識に動いている腰を逃がしまいと、ゆっくり根元まで押し込んだ。


「ひっう、や、…謙也…謙也、」
「痛い?」


そう尋ねると、首を横に振ったので今はまだましなんだと思う。何度か抜き差ししたあと名前が落ち着いてきたのを見計らって中で指を折り曲げたり、指の本数を増やした。


「っい…、いっ…けんぁっ」
「二本でもキツイか…」
「あぁ…!」


でも今さら後には引けない。何とかして中を押し広げておかないと辛いのは名前の方で、前戯を厳かにはできない。胸をいじったりキスをしたりしながら徐々に慣らしていくしか方法はないのだ。


「はぁぅ、ん…んん!」
「一回、イかせるわ」


慣らす過程で何度かかすっていた名前の一番気持ちいい所と、秘部の上にある突起を一緒に刺激してやるとすぐに絶頂を手繰り寄せてしまった。


「やぁ、あ、あ、っだめ…っ、っ」


悲鳴とも取れるような声を上げて体を麻痺させた名前の目はすでに酔っていた。気持ち良くて泣いてしまったのだろう、目尻に浮かんでいる涙をキスで拭ってやった。


「大丈夫か?」
「ぅん」


名前の髪を撫でながら避妊具の外装を破った。


「それ、」
「ん?…ああ、実物見るん初めてか」


コクリと頷いて、俺がそれを付ける一部始終を見つめる名前に、手元が狂いそうになるほど緊張していただなんて、またヘタレと馬鹿にされてしまいそうだから言わない。


「ってか、見過ぎ」


片手で目隠しをしておいて何とか片手で付けた。
手を離すと、名前はゆっくり俺の首に腕を回し、俺は背中に手を回してさらに密着させた。先端を押し付けると、名前のいりぐちが俺を受けいれようとしたのか、その逆なのか、反応した。


「んや、ぁ…っ」
「…名前」
「ひっ、ぁあ!」


まだ一番太い部分までも入れていないのに、もう痛みで苦しそうにしているのを見ると胸が痛んだ。
締め付けが強すぎる中は俺にとっても厳しい。じわじわと弱める事はしないで少しずつ埋めていった。背中に名前の爪がたって痛みが走ったが、そんなの気にもならなかった。


「ぃ…〜っ、っう、いた、ぃい」
「あと、ちょっと…やから」


男の俺には名前の実際の苦しさは理解できない。


「あ、あぁっ」


すべてを押し入れ、浅く呼吸を繰り返していた名前の涙を拭った。慣れるまでキスを繰り返していて、とてつもなく幸せを感じた。
嗚呼、このまま溶け合ってしまいそうだ。








第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -