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(そういえば、今日夜勤上がりだったっけ)

彼は仕事柄、夜勤が有り、夜勤上がりは一日休暇が有る(もちろん急患があれば呼び出しはあるが)。その時は絶対家に来る。だから今日はふたり分の食材を買って帰らないといけない訳で。どこの店に足を運ぼうかと考えていると、図ったかのような着信。


―「今、どこ?」
「会社から、駅まで歩いてる途中」
―「駅前で居って。今から行くわ」


やっぱり私も車の免許取ろうかな、と思う。だって、あったほうが便利だし。皆が高校卒業して免許取りに行く中で私が取りに行かなかった理由は、彼だ。俺が運転するからお前は取らなくていい。とか言われちゃうとときめくでしょうよ。うん。だから持っていないのです。でも、お互いが忙しくなる中で、それが無いのは不便だし、やっぱりあるに越したことはない。
駅前で待つこと数分、やってきた彼の車に乗る。


「おかえり」
「ただいま。あ、帰りスーパー寄ってくれる?ご飯の…」


私の言葉をのみこんだのは、彼の唇だった。にやっと笑って、はずしていた眼鏡をかけなおす。いつの間に眼鏡をはずしていたのかは定かではないが、彼はキスをするとき必ず眼鏡を外す習性があるので、狙っていたことに変わりない。


「俺が作ったるから、寄らんでもええ?」
「…うん」


侑士が私に料理を披露してくれたことは指折り数えられる程。侑士がそんな事をしてくれるのは、何かの記念日ぐらいだから、頭の中でそっと考えてみた。でも答えが有るわけもなく。侑士の自宅へ。いつもは私の家に来るくせに。


「お腹空いとる?」
「え?いや、まぁ普通に」


なら大丈夫やな、と笑い、侑士は玄関先に入った途端に私を抱きかかえて寝室へ放り込んだ。いつかのデジャヴだわ。学生時代はよくあった、直接寝室。


「ちょ、侑士!私まだ靴…」
「俺が脱がしたるから」


私、何かした?とはいえ、身に覚えがないのだから、謝るに謝れない。


「俺な、めっちゃ我慢しててんけど…もう、無理や」
「え」


パッパッパッ、と何から何までを取り払われ、ベッドに沈められた。何時になく性急な侑士は、あっという間に慣らし、自身をこすりつけた。


「ゆっし、待って…おねがっ、ぁぁぁぁっ」
「っは、あ、名前」
「んぁ、ぁあ…はあぅ」


最初から、ラストスパートみたいに動く侑士にしがみついて居るしか今の私には出来ない。何があったのか定かではない、だが、何かがあるのは確かだ。


「いっ、も、…むりぃっ、やぁぁぁ」
「俺も、」


社会人になってまでこんな抱き方…。私がイってすぐ、侑士も達した。瞬間に感じたのは違和感だった。一際奥に押し込まれた侑士自身が、中に、出した。今まで絶対に避妊を欠かさなかった侑士が、だ。初めての感覚に体が震えた。


「ゆう、しっ、だめ…っ」
「…」
「ゆうしっ!!…っぁ、も、だめ、動かないでぇ…っ」

出し切ったと思えば、再び抽挿を始められてしまう。内股に流れる厭らしい液体は、きっと侑士のものも混ざっている。体を引き上げられ、侑士の上に座る体制にさせられてしまうと、深く深く突き刺さる訳で、下からの攻撃に対処する術もなく背中に爪をたてながら達してしまった。


「ひっん、ぅ、っ、ん…や」
「名前っ…」
「ゆ、…―――っ」


再び放たれた熱い液体が、広がっていく。必要以上に中に在る侑士を感じてしまっている自分。全てを出しても尚、私の腰を限界まで引きつけたまま離そうとしない侑士。疲れも溜まっていた私は、ゆっくりと瞼を閉じた。




やってしまった、と思った。最近あまり会うことが出来ない事もあって、溜まっていたからといって、して良いことと悪いことは有るはず。しかも、中出し…目が覚めたら絶対怒られる。でも悲しきかな、自身を引き抜いて寝かせたとき、流れ出る白濁を見て反応してしまった。
もし、既成事実ができたとしても俺は構わないが、彼女はどうか。ああ、…。




(指輪、出してこよ)



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