short | ナノ




※M彼女とS彼氏の調教続編


微裏注意!









にゃんにゃんすんな。隣にしゃがんでいる仁王がボソッと呟いた。私も同感。同感過ぎて怒鳴り込んでやりたい。もしくは動画とってバラまいてやりたい。でも後者は犯罪になるから駄目だと仁王に説き伏せられたので、自制。じゃあ取りあえずここから出させて貰おうよ、と仁王に持ちかけるも、時既に遅し。あんあんヤっちゃってる、あの二人。幸いどっちも知り合いではないことが救いだ。例えばの話、友達とかだったら次どんな顔で会ったら良いのか分からなくなるよね。


「仁王、何とかして」
「や、無理じゃろ」


俺は慣れとるし。脳天気に携帯でゲームを始めた仁王に言いたい。慣れんな。仁王が屋上や空き教室でサボタージュしていたら、校内でいかがわしい事をしようとするリア充がよく居るらしい。それはそれで慣れるのは仕方ないか、いやサボるなよ!


「っていうかさ、部活は」
「今遅れるってメールした。ほい」


私に差し出された仁王の手には私の携帯。まさか自分の携帯じゃなくて私のからするなんて思ってもみなかった。


「"仁王が遅れると思うけど、怒らないでね"…?しかも、精市に!」
「ピヨ」


この文面だったら私のせいで仁王が遅れるみたいな感じじゃないか。寧ろ逆で、私が先生に仕事を頼まれた仁王を(たまたま会ったから)手伝ってあげたのに。ため息を小さく吐いて、私も携帯弄ってようと思い開くとドンピシャ、精市からの返信

"わかりやすく説明して?^^"

お、おこ、おこって、怒ってる…!もう少しで携帯を落としそうになった。落としたらにゃんにゃんしてる二人にバレちゃいますからね。あ、ちなみに、私たちが隠れてるのは教卓の下。一緒に隠れるのが仁王で良かった。柳とか真田とかブン太だったら絶対2人収まらない。


「仁王、精市怒ってる」
「…へぇ」
「仁王のせいだからね」
「プリ」


そうこうしているうちにエキサイトしてきたカップル。別に音声を聴いているからってムラムラしたりするわけでもなく、ただ、本当にどうにかしてほしい。マジで。仁王が出て行けば彼女の方がキャッみたいになって彼氏の方が萎えるかもしれないよ。いや、無理。良いから行けよ。無理。そんな会話をしていれば精市からのcallが…!


「もしm『ねぇ、今何処?』三階の、『動いたら犯す』 ブツッ


え、や、やだやだやだ。死ぬ、私明日の朝日拝めない!仁王にも一部始終が聞こえたらしく、(これだけ密着してたら仕方ない)どうにかしたい、逃げたい、と顔に書いている。逃がさない!仁王には私と一緒に苦しんでもらうんだから。
タァァァン。あれだね、教室の引き戸って、極限の力を与えられたらこんな音になるんだ。


「名前、早くでておいで」
「はぁい!」


勢いよく立とうとしたら机の角で頭を打った。痛い。にゃんにゃんしていたカップルが唖然として固まっている。せめてさらけ出してる部分隠せ。見たくないから。


「あ、あたし悪くないんだよ!仁王の手伝いしてたら…こういう、あれで」
「フフッ、言いたいことはそれだけ?ああそうだ、君たち早く出てけよ目障り。」

ノロノロと机から仁王が出てくるのと、カップルが教室から出て行くのはほぼ同じタイミングだった。


「幸村、これには深いワケが…」
「仁王、何も言わずに部活に行くのと公開プレイ鑑賞どっちが良い?」
「じゃあ先に行ってるぜ」


弱っ!冷静になれ、ぐらい言ってくれると期待した私が馬鹿だった。そそくさと立ち去った仁王。まじ覚えてろ。しかも去り際にご愁傷様です、って。標準語喋んな!余計に腹立つ。
仁王が去った扉を睨んでいると、かなり強い力で壁に押し付けられた。


「いくら仁王でも、2人っきりは許せないな」


ずいっと近づいてきた精市の顔。今にも触れてしまいそうな、距離。

先に告白したのは私だった。その時、精市が言った言葉が蘇った。あの頃の精市は親しくない人以外には絶対なれ合わない雰囲気を醸し出して、何より人が嫌いで人を怖がっていた。だから、私は精市のすべてを受け止めたいと思ったんだ。精市が望むものをすべてあげた。心も体も、何もかも。でも、それが窮屈だと感じたことはないし、縛られると、縛られた分幸せを感じる。
精市の首に手を回してキスをすると、何もかもそれは精市によって深いものに変わっていった。


「ごめんなさい」
「赦さない」


そして精市はもう一度私の唇に噛みついた。あとは、快楽に落ちるだけ。


立ったままなんて、今まで無かったから、結構キツい。精市に串刺しにされて、自分の体重すべてが接合部に掛かってしまうから、より深く繋がって、必死に精市にしがみつくしかない。


「っん、ん…ぁっ」
「声、出して」


精市は私が声を我慢するのが少し不服らしい。というのも、何度か私が下唇を切ってしまったからだ。私の体に傷をつけて良いのは精市だけ。
精市はきっと気付いてない。私が精市にどうしようもないくらい執着していることを。




(ほら、こんなにあなたでいっぱい)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -