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彼女はふわりと笑う

今までに見たことがぐらい綺麗に、彼女が笑うだけで蕾だった花が開くのではないかとも思う

そういえば、白石たちにジブリの見すぎだと笑われるかもしれない、けど

それぐらい暖かな、春の陽だまりのような笑顔をする


『千里』

「ん?」


先ほどまで熱心にクローバーを編んでいた手を止めて顔を上げた

どうやら冠を作りたかったらしい

でも最後の始末がどうにも出来ないようで、困ったように出来かけのそれを握り締めている


「出来んと?」

『・・・うん』

「俺がやっちゃるばい」


そっと渡されたそれを、丁寧に丸いわっかにして彼女の頭に載せてやれば、とても嬉しそうに笑った

まるで、童謡に出てくるお姫様だ。

此処まで綺麗な人を俺は彼女以外で見たことはない。


『千里の手は、魔法の手みたいだね』

「何ば言っとっと。名前の手のほうが」

『千里の話方好き。』

「そげな所、好き言われたんは初めてばい」


俺からしてみれば、彼女の優しい話し方のほうが好きだ

ほわほわとした優しい口調で、心を穏やかにしてくれるような話し方


『千里』


家族ぐらいにしかあまり呼ばれない自分の名前

彼女は初めて会ったときから千里君、と名前で呼んだ

今では、君付けはしないでと俺が言ったから呼び捨てだ

・・・初めて、会った?

そういえば、彼女は何時から一緒に居るんだろう。

気が付いたら傍にいた

でも、俺が大阪に来たあたりからだろうか


「なぁ名前」

『なぁに?』

「俺らは、なん時から知り合いばなったと?」

『・・・』

「ばってん、気になっただけたい。気にすることは無い」


一瞬、彼女の顔が曇ったのが分かった。

思えば、俺は彼女のことを名前以外何も知らない。

何処から来たのか、何処に住んでいるのか、家族はいるのか

俺のことは少し話をした覚えがあるが、彼女のことは何もしらない

彼女と会うのはいつも此処だ。

学校の近くの寂れた教会。

いつも誰もいないが、彼女は決まって此処に居た。

誰も知らない。俺だけが知っている彼女との場所


『千里、今日は眠らないの?』

「・・・眠ったら、起きた時いつも名前は居なくなっとる」

『・・・ごめんね。千里を起こすのは悪いと思って』

「そげなこと、気にせんでよか。」


いつものように、彼女の膝の上で目を閉じた。

そよそよと風で髪が揺れる。

彼女は優しく俺の頭を撫でていた。

その心地よさに、いつも眠気に誘われてしまう


「名前・・・・ほんまごつ、むぞらしかね」

『・・・    』


眠りに着く数秒前に、戯言のように呟いた俺の言葉に

彼女がなんと言ったのか分からなかった


次に目覚めた時は、彼女は此処に居ないと分かっていながらも

俺は眠りに落ちていった





「・・・・!・・・・っ」


誰かに揺さぶられて目が覚める


「あー白石ー!千歳おきたでぇー!」

「ようやったで、金ちゃん。」

「白石・・・?」


目が覚めて、周りを見渡したらそこは学校の屋上

・・・?ついさっきまでいつもの教会で居たはずなのに


「千歳、もう家帰る時間やで。昼休みから此処に居ったから部活終わった後に心配で見に来て見たらホンマに居ったわ」


この男、白石は本当に部長らしい部長だ。

でも、いま彼が言ったことによれば、俺はずっと此処で寝ていたことになる

今までのことが、すべて・・・・夢?



夢、幻想
(学校の近くに、教会なんてない)




うっひゃー(・∀・)

ちーさん話し方わからん!

難しい!

自発的にちーさん書くのは

多分、最初で最後かもしれない←



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