10000 | ナノ










痴話喧嘩から数日、午前の部活を互いに終え、俺の自宅に帰ってきた。


「シャワー使う?」
「私は学校の使ったから大丈夫」


先に部屋上がってるね、と慣れたように階段を上がってしまった名前を気にするまでもなく自分はシャワーを浴びた。
髪も濡れたまま下だけ衣服を身に付けて二階の自室へ向かうと、そこには俺のベッドで睡魔に負けてしまった名前の姿があった。身長が高めの彼女だが、その長い手足を折り曲げて縮こまって眠る姿は、普段見られないようなか弱さがあった。静かにベッドに腰掛けて髪を撫でたが、起きる気配はなかった。さら、と指からすり抜けていく髪をなんども指に絡ませた。小顔な彼女にはショートカットがよく似合う。きっと長くても似合うのだろうけど、俺は今の髪型が好きだ。いったん彼女から離れて服を箪笥から出し、髪を荒く拭いてもう一度、次は彼女を起こす目的で触れた。


「名前起きて」


俺としては眠ったままでもよかったのだが、後々彼女の機嫌が悪くなっては困る。それに、こんなに無防備に眠られると俺も男だ。起きて起きて、と何度も声をかけながら顔全体にキスをした。最後に唇にたどり着いたが、まだ目を覚まさない。連日の部活で疲れているのは俺も分かっているが、せっかく一緒に居るのだから俺の相手もしてもらいたい。初めは触れるだけだったキスも、気がつけば舌を捻じ込んで絡ませあっていた。さすがにここまでされると名前の意識も浮上しきったようで、力なくベッドに落ちていた手がそっと背中に回された。うっすらと開いた目が俺を確認し、再び閉じられた。そういう無意識な行動が俺の理性を破壊することに早く気がつくべきだ。まぁ、彼女が気づくのは一生かかっても無理かも知れないが。


「んっ、幸村…ごめん、寝ちゃってた」
「俺をほうっておいて寝るなんて、」


お仕置き、されたいんだ。と耳元で囁きかける。これに彼女が弱いことは重々承知の上での確信犯である。そして、名前がお仕置きという単語によく反応することも分かっていた。だって名前はドMだもんね?と更に追い討ちをかけると耳まで赤くして顔を背けた。名前がドMなら俺はドSなんだけども。だから釣り合いが取れてていいのだ。


「耳だけで感じたんじゃない?」
「そんなこと…」


名前の服の中に手を忍び込ませながら、ついあがってしまう口角を隠しきれない。本当に可愛いやつ。スコートとスパッツを一緒に引きずり下ろし、ポロシャツも簡単に脱がしてしまえばもう彼女は下着姿だ。痕がひとつも残っていない白い四肢を眼下に再び唇をむさぼった。背中に手を滑り込ませてホックを外し、守られていたふくらみを手にした。お世辞にもふくよかだとはいえないが俺にとってはそれが最高なわけで。鎖骨あたりに一つ目の赤い花を咲かせて、そのままの流れですでに主張している突起にそっと舌を這わせた。


「気持ちいい?」
「……んっ、い」


カリッと甘めに歯を立てたが、名前は声を小さく漏らしただけだった。そこから流れるようにだんだんと下へ舌を這わせ、ショーツも脱がせた。恥ずかしさで頬をそめ、胸への愛撫でわずかに息を上げている名前の瞳が俺をせかしているかのようにゆれた。


「っ、そんな…見ないで、恥ずかしい」
「見られて感じてるくせに」


上向きに寝そべることで浮き出た骨盤。無駄な肉、いや、必要な肉も不足している名前はそれがいっそう際立っている。それに噛み付いてやれば、身じろぎをして逃げようとした。内腿にも噛み付いて痕をつけてやった。本音を言えばもっとつけたいけれど、付けすぎると、部活中に服かめくれあがったりしたときに他の誰かの目についたらと考えるだけでも忌々しい。許せない。


「触ってほしい?」


わざと名前の腰が物欲しそうに揺れているのを知っていながら問うた。しかし彼女はぬれた瞳でにらんでくるだけ。つぷっと中指を中に入れただけで、もっと、と腰を浮かせる厭らしいからだ。


「言って?気持ちよくなりたいだろ」
「ぅ、っせいち…もっと、して」


紅潮した顔をさらに赤くして呟いた。今日はそれで許してあげる。と笑って愛撫を再開したが、優しくなんかしてやるつもりは無かった。


「やっ…ふぁ……あっぁ!」


主張している突起に吸い付きながら、指を一本ずつ埋めて中をかき混ぜる。粘着質な音とともにシーツを汚し始める液体。それは名前の羞恥心を刺激しながらもとどまることを知らないようにあふれている。指を動かすたびに流れ出るその液体を舌で舐め取ると、いっそう高く啼くものだから、やめられない。


「はぁ、っ…だ、め…っぁ、イっちゃ、ぅ…」
「どうぞ」
「ひっああ!」


指を締め付けて達した名前。指についた愛液を綺麗にしながらすでに反応しきった自身に避妊具をつける。達したあとの余韻に浸っている名前はそれを視界の隅に捕らえ、俺の背に手を回した。


「気絶しないでね」
「む、りぃっ」


ぐっと名前の中に入って、揺さぶる。あまり激しくしすぎると明日の部活に支障をきたしてしまうので、今日は出来ない。以前、己の欲望に忠実に抱いた時、翌日が練習試合だったので、女子テニの副部長に俺がしかられたのだ。腰が痛くて動けないと名前が殆どベンチに居た覚えがある。さすがに叱られるのはあまり好きではないから、自制することを覚えた。


「いっ、う、っあ…んぁああ」
「はっぁ」


チリっとした痛みが背中にはしる。彼女の爪が傷をつけたのだろうということは経験上容易に察しがついた。
俺が達するまでなんどかその痛みはあったが、気にもならない。ぐったりと俺の腕の中で荒い息を整える名前に、最後の仕上げといわんばかりに数個痕をつけた。


********


「休憩!」


翌日の部活、男子のほうが女子より早く休憩の合図をかけた。それも、女子の部長である名前が副部長と打ち合いをしていて、なかなかラリーが終わらないためだ。そうなれば自然とふたりに視線を向けてしまう。


「精市」
「なんだい蓮二」
「…苗字、見えているぞ」


ボールを打ち返すたびにめくれあがるシャツ。わずかに覗く白い肌には、昨日俺がつけた痕が見えていた。丸井や仁王、赤也が俺は見ていないと目線をさまよわせているが、見たんだろう。


「…何か見えた?」
「…いや。なんでもない」






10000hit 蘭様





[戻る]


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -