Theotokos | ナノ








これからされる事を理解したイブは大粒の涙を流しながら抵抗する。その固く閉ざされた唇を無理やりこじ開けて深いキスをした。唾液の絡み合う音がなんとも官能的で、彼女が窒息しそうなぐらい続けていた。酸欠でぐったりしているイブの身体に手を這わせる。まだ誰にも暴かれていない綺麗な身体。


「っ、」
「声出して」


諭してもイブは首を横に振るだけだった。それならそれでも構わない。どうせ出したくなくても出てしまうんだから。口で胸を愛撫しながら片手を下半身へ伸ばした。中心に触れただけでビクッと反応を示す素直な体。まだ濡れていないそこに指を突き立てた。


「いぁ!っ…やめ、」


彼女の制止の声なんて無視で、深く突き刺した。痛い、痛いと身を捩って逃げ道を探すイブは、その姿が男を刺激するなんて知りもしない。


「抜い、てぇ…!」
「どうして?」
「あぁ!!」


突起を押しつぶしただけで、簡単に秘部は潤ってくる。指を蠢かしながら、一本、また一本と増やしていく。流石に三本目にもなればイブの口からも喘ぎが漏れはじめた。


「んっ、ああ…っ……やっ!ぁ」
「ここ?」
「ひぁあっ!」


執拗に攻めると、絶頂が近づいてきたようだ。


「イっていいよ」
「やっ、あ・・いやぁっ、」
「大丈夫、怖くないから」
「ッ――…」


声にならない声を出し、彼女は達した。まだ早かったかと少なからず後悔したが、もう、やめてやる事は出来ない。
イブの両腿に手をかけ胸のあたりまで押し上げ、更に押し付ける。


「息吐いて」
「や…っ、待って、」


イブの腕を拘束していた物を取り払いながら髪や頬を撫でて、涙の跡にはキスを。


「もういいかい」
「…やぁ」
「まぁ、もう待てないけどね」


腿に沿えたに力を込めて押し付ける。取り出した自身で割れ目をなぞると、イブは身震いをしてシーツを握りしめた。ぐっと腰を進めると苦しそうに目をつぶって歯を食いしばって耐えるその姿にまた欲情した。処女だけあって、キツイ。食い千切られそうなほどに。


「っ、力、抜け」


ふるふると首を振って否定するので、仕方なく噛み付くようにキスをして力が抜けるのを待った。息苦しくなってフッと体から力が抜けた一瞬を逃さずに腰を推し進める。イブの悲鳴はすべて俺の口に吸い込まれていく。


「はっ、いっ、・・・もう、はいらなっ」
「まだ半分くらいなんだけどっ!」
「いやぁぁーっ」


メキメキと音がしそうなほど無理やりに押し込んだ結果、イブも俺も苦しい。浅い息を繰り返して痛みを逃がそうと躍起になっているイブのことを気遣う理性も無くなって(というよりも疲れた)また、無理やりに腰をつかみピストンをはじめた。


「あ゛ッ、いっ!いやぁ!!せっいちさ、んっ」
「っ・・・それ、逆効果、だよ?」


痛いやめて、と何度彼女が言ったか分からないぐらい荒々しい行為だったと思う。何度もイブは達して、俺が達するころにはイブの意識は無かった。繋がったところからは甘美な香りを漂わせる赤。体力が落ちているのに無体なことをしてしまった。後始末もせずにシーツを彼女にかけ、部屋を出る。


「おい」
「…仁王…」
「強姦か?」
「そうだな」
「…あんまり泣かすと、嫌われるぜよ」
「もう嫌われてるんじゃない?」


自嘲してあざ笑うと、仁王は眉間にしわを寄せた。仁王が言いたいことは分かって居る。俺のイブへの思いを知っているのも、理解してくれているのも仁王しか居ないのだから。俺がイブへ向けている思いを仁王も持っているのだ。仁王と俺、そしてイブ。俺達が共有しているはずの記憶をイブが思い出したとき、俺達の関係はいいほうに転がるのだろうか?いまの状況ではそれは誰にも分からないが。
俺の肩に手を置いて仁王がイブの部屋に入っていく。食事の乗った台車を押しているあたり、それを届けにきたのだろう。



**********



体がきしむ。いい香りがしてきて目が覚めた。すでに精市さんはこの部屋に居なくて、代わりに仁王が居た。テーブルの上に食事を並べながら私が目を覚ましたことに気づいて近づいてくる。


「動けるか?」
「…ん」


私の体からはシャンプーや石鹸のいい香りがしてくる。精市さんがお風呂に入れてくれたのだろうか。でも、あれだけのことをされたのだから少なからず彼に怒りは感じている。仁王が私の背中に手を回して起こしてくれた。床に足をつけたものの、立てることが出来ない。それを見越していた仁王は私を抱きかかえて椅子に座らせる。目の前に並んだ色とりどりの食べ物に心引かれるが、あまり食欲が無い。


「ちょっとでもええから、食べんしゃい」
「…ねぇ、精市さんは?」
「部屋に帰った」
「…」
「呼ぶか?」
「……いい」


パンに手を伸ばした。焼きたてみたいにふかふかで暖かい事に驚いて、仁王に聞くと暖めなおしただけらしい。ほんのり甘いシュガーロールは今まで食べた中で一番おいしかった。しかし、パンを一つだけ食べて手を止めたら、仁王は目を細め、取り皿に他の物達をバランスよくよそって私の前に置いた。


「食事だけは甘やかすなって言われとるんよ」
「…ちょっと多すぎ」
「大方2日も食べてない、って自覚無しか?」


2日、確かに。そう考え始めると凄くお腹が空いているような気もしてきた。フォークに肉を突き刺し、口に放り込む。やはり絶品。なんだかんだで私の手は進み、仁王とも会話を弾ませた。


「ご馳走様でした」
「ん、よくできました」


ぽんぽんと私の頭を撫でた仁王。なんでだろう、こんなにも懐かしいのは。


「ねぇ、私たち、会ったこと…ある?」
「?無いじゃろ」
「そっ…か。うん。ならいいや」


少し引っかかる所もあるが、とりあえず頷いておいた。食器を片付けながら仁王は私に、庭を見に行かないかと持ちかけた。草花は嫌いじゃない。むしろ好きな部類で、でも見に行きたいのはやまやまだが、腰が痛くて歩くのがキツい。





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