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LOVERS SITUATION






合コンなんて今まで一度たりとも参加したことが無かった。社会人になるまで参加したこと無いのって私ぐらいなものだと思う。だって、私には(なぜか)昔からべったりと近くにくっついてくる彼が居たのだから。昔といっても彼と出会ったのは中一の春だけど、出会って三日で告白してくる無謀な奴、彼以外見たことも聞いたこともない。それにオッケーした私も私なんですけどね。
今回は初めての合コンとあって、やはり彼には反対されたが私にも付き合いというものがあるわけで、同じ部署の先輩からにらまれたくないじゃないですか。反対を押し切る、じゃなくて、黙って出てきてしまったが今となっては後悔はない!割り勘だから普段より安く飲めるし。初めての合コンも体験できるしで、一石二鳥。もちろん、男の人たちと話しながらも私は焼酎をロックであおり、すごいねーなんて笑われている。別に、彼氏つくりにきたわけじゃないし、なんと思われようといいんだけどね。

「男らしい飲み方だね」
「そう、ですか?いつもこうなので」
「お酒は強いの?」
「まぁ、それなりに」

合コンとは、男女が同じ数だけ集まってするものらしいが、今、男が一人遅れていて、女子が一人余るわけである。もちろん私が余るものだと思っていたら、思いのほか男が隣に座った。先輩や一緒に来た同期の子たちは狙いの人が重なっていたりして猛烈にアタックしている。それで、この男は私狙いなのだろうか。でも、自分で言うのもなんだけど、私の彼氏より格好良くないし、もともと私は中一のころから彼氏の友達のイケメンたちに囲まれて蝶よ花よとめでられてきたのだから、目の前の男なんてときめきもしない。


「ね、彼氏いるの?メアド教えてくれない?」
「あ、すいません。携帯はちょっ…」
「遅れてすまんかったなぁ」


男からのアピールをはぐらかそうとしていると、個室の扉を開けて、遅れていた一人の男が入ってきて、私は何もいえなくなった。…え?今日は研究室に引きこもるって言ってたじゃない。なんでここにいるの。


「えーっ!すごいイケメンじゃないですかぁ」
「氷帝の医学部大学院に通ってるって本当ですか?」


どこからその情報は仕入れられたんだ。今さっき入ってきたばっかりの男、基私の彼氏、忍足侑士は中に普通に入ってきて普通に私の隣をキープした。やばい。すごく起こっていらっしゃる。だって目が笑っていないもん。私の手の中のグラスの氷がカランと音を立てた。他の女子は侑士にどうにかして近づこうとがんばっている。しかし、侑士はあくまでも私とは他人の振りをして、他の女の子とよろしくやっている。ちょっと、気に入らない。でもこうなる元の種をまいたのは私で、でも、侑士がどうして私がこの合コンに参加していると分かったのだろう。…それは後で聞くとしても。


「忍足がきたのか」
「え?」
「実はな、もう一人って忍足じゃなくて別の奴だったんだ。」
「…じゃあなんで?」
「そいつが用事ができたとか言い出して、それで変わりに忍足を呼んだわけ。」


ちなみにその、ドタキャン男の名前も聞いてみた。不二。あれれ、なんでだろう、すごくなじみのある苗字だ。しかも青学っていう単語を一緒に出されればもうあいつしか居ない。覚えてやがれ不二。


「忍足君ってぇ、彼女いないの?」
「あ、この後暇?別のところでゆっくり話そうよ」


二つの声が重なり、次の瞬間には私は侑士のうでの中に居た。え、え?なに、何なのこの状況。く、苦しい!首が絞まってますよ!


「すまんなぁ、これ、俺の嫁やねん」


…間。
嫁?誰の?俺の。え?私が?マジで?なんでいきなり嫁。ああ、そっか侑士って一時そういう趣味持ってたもんね。クッションに向かって俺の嫁!って連呼してた時期があったよね。うん。そういうのりで私も嫁?皆開いた口がふさがらない状態だよね?だって口開いてるもん。ははは。


「え…じゃ、じゃあ、苗字さんの彼氏って」
「えと、…この変た…ゴホン、はい。彼です」


まさかとは思うが先輩は私に彼氏がいる設定を信じていなかったようである。え、何それ失礼wwっといけない侑士のノリがうつってる。


「ってことやから、俺はこの出来の悪い嫁を連れて帰るわ」
「あっと、すい、ま、せ」
「ほんま、ご迷惑をおかけしました。」


机の上にふたり分のお金を置いて、私は侑士に引きずられるように連行されたのだ。もちろん、彼の車で彼の家まで。うおぉう。明日は有給使わなきゃダメだわ。絶対。私の脳内ではこれから起こる惨事のシナリオが出来ていた。まず、かえる。床に正座。二時間弱くらい説教。足がしびれて動かなくなったころにベッドへ連行、…ああ、憂鬱。でも、今回私は仕方なく行ったんだよ?できれば家でごろごろして居たかったのにわざわざ…。だから侑士にも分かってもらいたい。口説かれてもぜんぜんなびかなかったし照れもしなかったし、そこまで親しそうに話した覚えも無い。とりあえず侑士の逆鱗に触れるぐらい悪いことはしてないから大丈夫かな。


「ちょっと目離したらこれか」
「…ごめんなさい、でも、っ」
「言い訳はせんでええよ。とりあえず体に教え込もかなぁ」
「や、優しくお願いします。」
「拒否」


侑士の自宅に着いた私は、説教をするまでも無く、寝室へと放り込まれたのでした。




5000hit Lili様






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