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朝餉の後、幸村にあてがわれた客間でのんびりしていると、障子の外側から小十郎さんに呼びかけられた。


「なまえ、すまねえな。もう話は終わったから部屋に戻れ」

「ありがとう、小十郎さん!」


幸村はこの後、米沢城の道場を借りて筆頭と鍛錬するそうだ。幸村にいってらっしゃいをした後、私は部屋へ戻った。

部屋に入ると、真ん中で佐助が正座をして待っていた。どうかしたの、と聞けば、そこに座りなさい、と返ってきた。正座は嫌なので、胡座をかいて座った。(はしたない、なんて言われたけど気にしない。)


「聞けば、竜の旦那の筋肉触ってたんだってね。昨日俺様が言ってた事聞いてなかったの?ねえ?」


その後も、オカンの小言は延々続いた。足を広げて座るなだとか、言葉遣いを丁寧にしろだとか、作法がなってないだとか、忍遣いが荒いだとか、忍を労われだとか、エトセトラ。
最後の方はもう幸村の愚痴だった。団子は自分で買いに行ってほしいよねー、あれ俺様の自腹なんだよねー、これで給料下げられたらたまったもんじゃないよねー、俺様忍なのになにやってるんだろねー、。
ここまでくると、不憫である。


「ねえ佐助、なんかごめんね」

「はあ、分かればいいんだよ。ところで旦那の話の続きだけど・・・」


ま だ つ づ く の !?
結局、それは夕餉の時間まで続いた。グッタリした私を余所に、佐助はスッキリとした面持ちで天井へ消えて行った。


「お疲れ様、私」


今日も今日とて、ハードな一日でした。明日は小十郎さんの畑を見に行く事になっているので、早めの就寝。


天井から、穏やかな表情で私を見つめる佐助になんて、気づく訳がなかった。





11.愚痴を零されました。
(可愛い寝顔)
(こんな子が、間者なわけがない)
(結構信じちゃってるなあ)



−−−
もう少し、筆頭と絡ませたかったです。
とりあえず、次回は小十郎さんとウフフアハハです。

カナメ




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テーマ「人外ファンタジー」
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