08




そうして来ました米沢城!

ここまで来るのに、馬で三日も掛かった・・・。しかしそのお陰か、乗馬には慣れたし、寧ろ幸村に褒められる程乗り回せるようになった。これからは、趣味・乗馬とでも答えよう!


「確か佐助は城下にいるって言ってたよね」


この時代(否、世界と言った方が正しいかもね)は、馬の足よりも忍の足の方が早いらしい。既に到着しているであろう佐助を探し城下町へと足を運ぶ。

幾分かして歩き回ると、見事に商人に扮した佐助を見つけた。幾ら商人に変装していると言っても、幸村の眼は誤魔化せなかった様だ。勿論私も気付いたよ、あんな胡散臭い笑顔は佐助しか出来ないからね。


「さあて、それじゃいっちょ、米沢城に突撃しますか!」

「うぉおおお!!政宗殿、待っていて下されぇええ!!」


私の掛け声に興奮した幸村が叫べば、佐助は額に手を宛てて溜息を吐いた。








「Hey真田、久しぶりに会えたと思ったら女連れとはな。ついに大人の仲間入りだな」


生筆頭・・・可愛い!何これ何この生き物、英語の発音可愛い!生で筆頭を拝む事が出来、大満足である。
いけない、私ってば、この世界を満喫しちゃってる!


「伊達政宗様、なまえと申します。旅人をしておりましたが、現在は信玄公のご厚意に甘え、甲斐に身をおいております。以後お見知りおきを」


ゆったりと、それでいて丁寧に頭を下げた。筆頭は、Hum.、と声を漏らした後、頭を上げる様に促した。
頭を上げた私の眼に飛び込んで来たのは、どアップの筆頭。え、なにこのおいしい展開!


「・・・伊達様?」

「紹介が遅れたな。俺は奥州筆頭、伊達藤次郎政宗だ。好きに呼びな」

「はい!筆頭!」

「Ham...お前、いい女だな」


あああ筆頭!かっこいいです筆頭!でも私の顎を掴む必要はあるのでしょうか筆頭!筆頭だから何でも許されるんですか!片倉小十郎がいないからって何でも許されるんですか!流石です筆頭!

一人で脳内筆頭祭を繰り広げ、我に帰れば佐助と筆頭が口論していた。


「淑やかでcute、いい女で間違いないだろ。You see?」

「俺様、南蛮語は解らないけど、なまえちゃんは全然淑やかじゃないってば!」


筆頭のYou see?が聞けて満足だが佐助よ、お前はちゃっかり私を貶すな。淑やかじゃなくても私は立派な女の子よ!


「それにこいつの眼、なかなかcoolだぜ?それとも猿には、こいつの魅力に気づけねえか?」

「たしかになまえちゃんってば肝座ってるし不思議な子だけど、いい女とは違うでしょ!」

「む、佐助!なまえ殿は良き女子であるぞ!」

「あーもう、旦那は首突っ込まないでよ!」


火花を散らす二人に横槍を入れた幸村だが、邪魔だと言われ落ち込んでいる。シュンとしている姿が可愛すぎて、思わず頭を撫で回してやった。
初めはわたわたしていた幸村も、私の撫で回しに諦めたのかなんなのか、直ぐに大人しくなった。


「置いてきぼりだね」

「そうで御座るな。そろそろ片倉殿が戻って来る頃だから、それまで某達は大人しくしていよう」




それからすぐに片倉小十郎が来て、騒ぐんじゃねえ!、と二人に喝を入れた。





08.訪れました。
(政宗様、お戯れが過ぎますぞ)
(But、小十郎、)
(ま さ む ね さ ま)
(Ah-...sorry.)



−−−
米沢城!Ya-ha!
ついに筆頭。
何だかんだで、佐助が一番ヒロインの事を手放したくない。そして幸村が可愛い。

カナメ





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -