07




上田へ来てから、もう七日も経った。幸村や佐助、それから佐助の部下の霧隠才蔵さん(ウホッ、真田十勇士!)達と過ごす日々は、凄く楽しくて毎日があっという間に終わる。

今は、鍛錬から戻ってきた幸村とお団子を食べている。そう、慶次に連れて行ってもらった茶屋のお団子だ。

慶次と言えば、今は何処で何をしているんだろう。私が信玄公達と出会う事が出来たのも、慶次のお陰である。半ば命の恩人である慶次に、さよならも告げられないままお別れして早一週間。


「慶次、大丈夫かなあ」

「なまえ殿は、友を大切にしているんだな」

「そりゃね、大事な友達だもん」


慶次がどう思ってるかなんて知った事ではないが、彼は間違いなく私の大事な友達である。


「その風来坊の事だけどー」


音も無く現れる佐助にはもう慣れたものだ。

佐助の情報では、慶次は奥州へ向かい、片倉小十郎が育てている野菜を盗み逃げ出し、今は越後にいるらしい。越後といえば上杉謙信だな、羨ましい。今頃うつくしきつるぎのツンデレにウホウホしているに違いない。甲斐からは信濃を通って行けばいいのかしら。


「慶次に会いたい・・・」

「なーんかソレ、俺様つまんない」

「おお、佐助もであったか!某も、その、なんだか心地が余り良くないで御座る」


なんだなんだ、モテ期か?
佐助の感情は読めないからよく分からないけど、幸村は少なくとも好いてくれているのが伺える。ほんと、何処ぞの夢小説みたい。


「大丈夫だよ幸村。私は貴方と離れたら、貴方とも凄く会いたいと思うから」

「其れは真で御座るか!」


幸村は、訳の解らぬ感情に振り回されて、云々かんぬんと言っていた。そんなんだから何時まで経っても初なんだよ。ま、可愛いけどね。早く童貞卒業出来るといいね。


「俺様置いてきぼり?ていうかなまえちゃん、今お下品な事考えてたでしょ?」

「お前はエスパーか!」


佐助に思考を読まれかけ、エスパーかと問えば、えすぱあ?、と二人で小首を傾げた。ちょ、なにそれ可愛い!可愛いついでに筋肉も見せて!

調子に乗った私は、夕餉の時まで調子に乗った。調子に乗りすぎて、筆頭に会いたい!、と言ったら、二人に怪訝な顔をされた。


「政宗殿は駄目で御座るよ、なまえ殿」

「そうそ、竜の旦那ってば手が早いから何されるか」


最近佐助が過保護なのは気のせいではないと思う。この間も、一般人に変装させた才蔵さんと城下へ行こうとしたら全力で止められた。止められたついでにお説教された。

遠い目をしている私を余所に、二人はぐちぐちと文句を垂らしている。

そんなに過保護なら・・・、


「二人も一緒に奥州へ行けばいいじゃない」

「「・・・は?」」





かくして私達は奥州へと、少し時間のかかる散歩をする事になった。




07.提案しました。
(佐助、なに項垂れてるの)
(あはー、俺様ため息も出ないや)
(いいじゃない、幸せ逃げないわよ)
(うん、もういいや)




−−−
筆頭に会いに行きます。
佐助は無事に苦労人ポジ。暴れる幸村と無茶言うヒロインに振り回されます。

カナメ




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