All's fair in
      love and war.




結局は子供は大人にかなわない。
だから俺は今日、自分より年下の奴に自覚をさせる。
何故自分から告白しないって?、俺にはそんな度胸なんてないからだ。
ま、簡単に言うと大人の余裕みたいなものだ。
いやいや、素直にいうとただの臆病者なだけなのだけど。

廊下をダルく歩きながら教科書とノートを脇に抱える。
今日の授業にアイツは出席するだろうか。
授業を知らせるチャイムがなった。
生徒達は慌てた様子で教室に入っていく。
3年Z組のドアを開き横目に生徒達を確認していく。

あ、

その中に高杉の姿を捉えた。
来ていたんだ。
その途端嬉しくなる。


「じゃあ教科書48ページ開いて」


適当に土方をあてて教科書の本文を読ませる。
その間俺は適当にブラブラと教室を巡回する。
そのとき、ワザと高杉の足に軽くぶつかる。
「………ッ」


「あ、悪い」


顔赤い。
こんな初々しい反応見せられたら誰だって恋しちゃうよ。
本人は無自覚だろうけど。
それが堪らなく可愛い。
そんな高杉に漬け込む俺も俺なんだけれどね。


「大丈夫か?」


「…大丈夫だッ」


耳元で優しく声をかける。
あれあれ、耳まで真っ赤にして、それでも自分の感情を認めたくないのか俺を拒絶する。


「先生、読み終わりました」


「はい、ありがとう、次は―」





―――――――――――




「あ、高杉お前だけ提出プリント出してないから居残りな」


「え、あ、」


「サボるなよ―」


高杉が反論する前にさっさと逃げるように教室を出た。


放課後、高杉はなんだかんだと来てくれた。
2人きりの国語準備室。
黙々とプリントにシャーペンを走らせる高杉はたまにコチラを見てはまた何事も無かったかのようにプリントに文字を埋めていった。
高杉から少し離れたところに座っていた俺はゆっくり立ち上がって近付いた。
ピクリと肩が揺れたのを見逃さない。
指でプリントを指した。


「ここ、間違えてる」


「え、」


「ここはあれだ、選択」


「あ、」


ア〜スまでの長い選択問題を真面目に回答していく。
ふふ、実はこのプリントは高杉専用なんだよ。
まあ、自覚させるための、とでも言っておこうか。


「…ス、」


「ん、次は」


「………ッッ!!、馬鹿野郎!!」


あらら、気付いちゃった。
高杉は勢い良く立ち上がると逃げ出そうとした。
腕を引っ張り抱き締める。


「…次の答えは?、言わなきゃ留年させちゃうからな?」


「……、キ、」


「そう正解だよ、」


「銀八、」


「ん?」

ああ、もう真っ赤にしちゃって。
可愛い、
首筋に自分のを軽く口付ける。
「ぁ…」なんて、本当に、


「好きだよ、高杉」


「……馬鹿野郎…」


精一杯の高杉の反抗は、誰にでもバレてしまうくらい素直。



  ((恋と戦争は手段を選ばず))


だから、その可愛さに漬け込みたくなる。



Fin.



 
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