rain.



「もしもし」


赤く、ぷっくりした唇が動いた。
それを横目で見つつテレビを見ているフリをした。

外は雨。

じっとりとした気持ちの悪い暑さで苛々しているのだろうか、
高杉は最近携帯電話を持ち始めたが、俺は持つ気も金も無いのでどうだっていいことだった。
ただ苛々していた
のは、やっぱり雨のせいなのか暑さのせいなのか何なのか。
横長のソファーに2人で座っているというのにお互い、電話したりテレビ見たり。
ああ、もう何。
話している相手は天人か、鬼兵隊の誰かか。
苛々するのは暑さか、それとも。
触れるか触れないかの肩の距離、少しだけ触れている高杉の細い指。
お互い何も言わず、テレビを消して静寂だが存在を確かめ合える時間が好きだった。
あれ、過去形?


「だからあの件は―…ンッ」


高杉の太股を撫でると高杉は目を見開いた。
それを気付かないフリをして撫で続けながらゆっくりと自身に触れた。


「ふぁ、あ、」


いきなり自分のを掴まれるなんて思わなかったのだろう、
ビクリと肩が揺れ、携帯電話を落としそうになりつつも電話している相手にバレないように会話を続ける。


「な、んでもない…、ンン、だからそれは善処する、ぁッ」


尻の割れ目に指を入れ、グチグチと掻き回した。
涙目になりつつ携帯電話を両手で握り締める姿が可愛くて可愛くて仕方がなかった。
相変わらずジトジト暑かったが何故か苛々することはなかった。


「ぎ、とき、止めて」


ボソボソと耳元で言われたがそんな表情で言われたら、もっと虐めたくなった。
指は二本入った。
高杉は言葉や表情では嫌がっていたが、硬く勃起している素直な自身。
先走りで出ている白濁を掬い、潤滑剤代わりにヌルヌルと指に付け、尻の割れ目に指を入れたり出したりした。


「ぁ、ふああ、何でもないから、万斉」


ああ、そうなの、
電話の相手はあのグラサン野郎だったんだ。
そうと分かるとまた苛々した。
高杉を押し倒し、左足を自分の肩にかけ、右足はソファーの寄りかかるところにかけて足を開かせた。
自由になった両手で高杉の細い腰を掴む。
高杉は必死で顔を左右に振るが関係ない。
俺は無理やりまだ柔らかくなってもいないのに
ぶち込んだ。


「……あッ、ああ…ッ」


高杉の顔面が目の前にくるくらい近寄った。
鼻と鼻が後、数pでくっつきそうな距離に高杉は視線を逸らそうとした。


「逸らすな、」


いつもよりトーンを下げて言うと高杉はビクリと肩を震わせて此方を見た。
ぐぷぷ、と結合部がいやらしい音を出す。


「……銀…」


携帯電話を握る手に自分の手を重ね、電源を落とした。
相手がグラサン野郎じゃなかったらこんな事しなかったかもしれない。

ああ、なるほどな

つまり、嫉妬してたんだ。

俺もまだまだ餓鬼だね、
二十歳いってるくせに。
大人の余裕、なんて言葉、俺の中には存在しないんだ。
欲しい、高杉が欲しい。
他の人と話すなんて許さない。
俺だけを見て、俺だけの声を聞いていればいいんだ。


「あっ、ああ、ぎんとき、ああ!!」


「高杉、高杉、…ッ、晋助」


「ふああ、やあ、銀時、んにゃ、ふあ…ン」


余裕のないセックス。
お互い馬鹿みたいに手を重ねて、微笑み合った。

「馬鹿、だな…銀時ぃ」


「はは、」


本当に。


気が付いたら外は晴れていて、気持ちのいいカラッとした暑さだった。


「ふ、あああ―――ッ」


「……ッッ、」


ぎゅうっとしめられた。
相変わらずお前の中はぬちゃぬちゃで気持ちが良いな。
片目から出た涙を舌で舐めとり、優しく撫でると高杉は嬉しそうに目を細めた。
相変わらず、可愛いんだから。

眠る高杉を抱き締め、髪を撫でた。
サラサラの髪は気持ちいい。
愛してる、以上の言葉があればいいのに。


「ん…銀時……」


そうしてお前も俺をそう思ってくれていたら、
なんて幸せなんだろう、
無意識なのか手をきゅう、と握り俺に擦りよる。
机に置いた携帯電話を取り、電源をいれた。
ピロリンと音がなり、発信履歴と着信履歴を確認すると。


「あれ、」


履歴がない。
…もしかして、


「馬鹿だな、銀時は」


まんまと騙されたな、といつの間に起きた高杉はニヒルを見せた。
ああ、なるほどね、
嫉妬してほしいとか、お前も俺もまだまだ餓鬼だねぇ、


Fin.



 



 
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テーマ「人外ファンタジー」
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