片思い3年目


※同級生




堅苦しく着慣れた制服を第一ボタンまでしっかりと止めた。
女子達は制服のポケットにハンカチを突っ込んだ。
もう鼻を啜っている奴もいた。
男子はと言うと、無駄にテンションが上がって騒いでいる。
そんな中、俺は黙って席に座っていた。
その隣の席で高杉は突っ伏したままだった。


「―…泣いてんの?」


「…」


茶化すように聞くと高杉は顔を上げ、睨んできた。
ゾクゾクとその視線に興奮した。
嗚呼、お前が好きだよ。
そんな事言える勇気なんて持ち合わせてないんだけどね。

時間になると担任が入ってきて、「行きますよ」と言った。
座って、立って礼、を繰り返して無事、式は終了。


外に出ると親が子をカメラを向けていた。
後輩は、憧れの先輩と写真を撮っていた。


「さ、坂田先輩!!」


ショートヘアーに可愛い小花がついたヘアピンをした後輩である、宮野が駆け寄ってきた。


「…先輩、良かったら、写真…一緒に…ッ」


頬を赤らめながら言った。
嗚呼、宮野は凄いよ。
俺も勇気が欲しいよ。
写真を撮ると「おめでとうございます、坂田先輩!!」と泣きながら去って行った。
内気な彼女の精一杯の行動だったのだろう、宮野は同級生に抱き付き、涙を零していた。


「高杉、」


「あぁ?」


「これ、やるよ」


高杉に押し付けて去る。
好きだ、何て。
今更、3年も思ってきたんだ。
これくらいしても良いだろ?


「銀時!!」


「ッ!?」


「お前ぇ、古クサい事してんじゃねーよ!!」


投げ返されるソレ。


「はは、要らない?やっぱ」


ソレを握り締めると高杉がズカズカと殺気を込めて近付いて来た。
高杉の胸元には、ソレが無かった。


「要らないか、ソレ」


「…いる」


俺の答えにふわりと笑う高杉は、酷く美しかった。

周りの生徒や教師は盛り上がっていて俺達なんか眼中に無いようだ。
そっと高杉のぷっくりとした唇に口付ける。
周りが急に静かになるような錯覚がした。
まさか素直に高杉が受け入れてくれると思わなかったのだ。
高杉は目を見開き、はくはくと酸素を吸っている。
目が合うと高杉は真っ赤になり俺を突き飛ばした。


「馬鹿野郎…ッ」


尻餅をついた俺を見下ろした高杉はギュッと強く強く、先程交換し合った、第二ボタンを握り締めていた。



Fin.




 
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