自分の恋愛に対する考えが可笑しいのは中学生になった時から理解はしていた。



「あんた恋愛表現意味分かんない、別れよう」


そんな言葉を何度聞いたことか。
理解する人間はいなかった。
恋愛は諦めようと高校の担任教師になった。
しかし、若く可愛いらしい教育実習生がやってきた時、再び俺は恋をした。
真面目そうな雰囲気に惹かれ、思いを告げると教育実習生は嬉しそうにした。
しかし付き合って3日で別れた。
何故、と聞くと、


「坂田先生との恋愛は怖いです、」


と言われた。
そんなところを自分の生徒に見られた。


「先生の恋愛表現ってどんなのなの?」


弱みを握った、という顔で言われ諦めて話した。

すがりついて好きと言わせたい。
プライドが高いならばそれをぐずぐずに壊してしまいたい。
「俺を好き」という感情以外消し去りたい。
相手が離れていくほど興奮して、更に欲しくなる。


「何だ、普通じゃない」


「は?」


「俺もそう」


にっこりと嘘のような笑顔だった。
―…理解者がいた。




 坂田銀八の場合。


まさか生徒を好きになるとは思わなかった。
神威、あれは俺の理解者だ。
全ての授業が終わり、帰宅途中、神威に会った。
「高杉が不良に絡まれてる」と聞いて高杉を助けた。
振り向くと神威はいなかった。
とにかく自分の生徒を路地に放置できない、と抱きかかえて自分の家に連れて帰り、傷の手当とココアを渡した。
頭を撫でてしばらくするとボロボロと泣き出してしまった。
不良と言ってもまだ餓鬼。
しかも同性にレイプされかけたのだから当然だろう。
高杉が落ち着いたら家に帰した。


「先生、」


「神威、どうした」


次の日神威が珍しく俺に話しかけた。
いや、昨日も話しかけられたがあれはちょっと違うだろう。


「先生は同性愛っていいと思う?」


え、何それ。
無駄に期待しちゃうんだけど。


「ま、まあ人それぞれじゃね?」


「―…ふうん」


怪しく笑ういつもの嘘のような笑顔を向け、去っていった。
そして何時ものように高杉に近寄り頭を撫でていた。


―…早く欲しい。
ゾクゾクとする。
同性、生徒、かなわない恋であるのに妙に興奮する。
神威の全てが欲しいと興奮しているのを周りに悟られないように眼鏡をかけ直した。




 
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