来世でまた会いませう


※大学生コンビニバイト中



『私は武家の娘です、家のための覚悟など昔からあります』


物心ついた時には既にあった自分とは違うもう1人の自分の記憶がある。
その中の記憶の自分は武家の娘で、よく時代劇にあるような同盟の証として相手の国へ嫁いでいった。
嫁いだ同盟の国の領主の息子、つまりは記憶の中の自分の夫となったのは―…


「晋ちゃんおはよー」


坂田銀時である。


(大体、容姿も声も名前もだなんて有り得るか?)


違うのは記憶の中の俺が女ではなく男で名前が『お晋』ではなく『晋助』になっている。
と言うより男の俺がまるで女装したみたいにバイト仲間の坂田銀時と夫婦とか寒気がする。
「いらっしゃいませ―」ぼうっと考えていると客が坂田銀時のレジの前に来ていた。
今は14時。そこまで混む時間帯じゃないため少し退屈だ。
会計を済ました客がコンビニから出ると二人きりになった。


「晋助、」


「ああ?」
 
 
「―…前世って信じる?」


「前世…?」


一瞬坂田銀時のコンビニの制服が着流しに見えた気がした。


「例えばお前が女でぇ、名前はお晋とか?武家の娘で同盟のために俺と結婚してた!とかさあ」


「!」


「晋助?」


「お前、確信して…」


ああああああ、止めろ。
記憶の中で一番嫌なシーン、
自分が自殺したシーンが頭の中で再生された。
同盟などと嘘をついて自分の国を攻められ、父上が死、俺は私は

武家の娘で女である自分は本当の思いも告げる事は許されずに「国」のため「父上」のために死んだのだ。


――――――――――
―――――――
―――


『侮辱するな』


『…お晋、止めろ!』


『私は貴様等坂田の国を赦さない!!』


『止めろぉぉぉぉ!!!』


自分の胸に短刀を刺した。


『赦さない、赦さない赦さない!!裏切った貴様等の下で私がのうのうと生きるとでも思ったか?私の家を滅ぼした罪―…』


(…本当は、貴方と)


『死んで償え』


(生きたかった…)


でも私は女だから
本当の事を言えない
自分の家を滅ぼした息子に
"お慕いしている"だなんて
父が、家が、国が。
私を赦さない。


『赦さぬのは此方だ』


(…え?)


『俺の傍におらぬのならば、来世までそなたを追い掛けてまた夫婦になってやろうぞ』


(…ああ、嬉しい、でも)


『二度と会いとうないわ』


ごめんなさい。


――


「……」


「晋、助?」


「うるせえ」


ぐずぐずと汚く泣いていると頬を俺よりも大きな手で挟まれた。


「そなたを捕まえにきた」


「!」


"そなた"それに昔のような口調。
まるで、まるで。


「銀、時」


「本当に会いたかった」


愛してくれてたのか。俺を。
お前を残して勝手に逝ってしまった俺を。
あんな酷い事を言った俺を。


「晋助愛してる、今も昔も、ずっと」


「…ああ」


ありがとう、見つけてくれて。



 
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -