古びたアパートの階段をカンカンと登って来る音に目を覚ました。
起き上がろうとしたらガシャリと無情な音が聞こえた。


「……あ、」


足枷代わりに左足首に布の上に鎖が巻かれ、それはベッドの脚に繋がっていた。
布はアイツが俺の足首が鉄臭く、そして腐らないようにという配慮だろう。


「ただいま、高杉」


「……おかえ、り」


コイツが外出中の時は必ず俺の足首をこうやって拘束する。
逃がさないように。


「今日は寒くなってきたから鍋だぞ―」


「うん…」


何日学校に行ってないのだろうか。
家にも帰ってない。
でも、これは犯罪だ。
きっと沖田や土方や神楽や、両親が教師や警察に言ってる筈なのに、
ましてや沖田、土方、神楽はコイツが犯人と知ってるのに。
何で誰も、来ないんだよ。


「…沖田君だっけ」


「えっ?」


「何か俺の大学まで来たからちょっと…始末しておいたよ」


「…え、え、?」


「俺の高杉に近づいてくる害虫は始末しなきゃ、後は土方君かな?大丈夫、女の子には手ぇ出さないよ、つか女の子は沖田君の一件でビビってるって神威が言ってたよ」


「や、やだ」


「大丈夫大丈夫、高杉の親御さんには俺の家に勉強で泊まってるって言ったし?」


「うあ、うああっ」


帰りたい帰りたい帰りたい!!
俺の足首を鎖から開放するとアイツはキッチンに向かって料理をしている。
布団にくるまってガタガタ震えてると良い薫りがしてきた。
今思うとアイツはかなり料理が上手い。
コトコトと煮詰まってゆく鍋に腹が鳴った。
そう言えば何も昼は食べてなかったんだった。


「ほら、食べて」


言うことを聞いてれば優しい。
料理美味い。
俺を愛してくれる。
だいたい俺がここから逃げ出したらまたコイツが来て周りに迷惑がかかる。
沖田に、合わす顔もない。


「……ッッ」


「高杉?、泣かないで泣かないで」


ふわりと優しく優しく抱き締められる。


「銀、時…」


「うん?なあに」


「銀時は…俺を」


「愛してる、愛してるよ」


「…ッ、うん」


俺に帰るとこは全て"コイツ"に奪われたと言うのに。
愛してると戯れ言のように言う"銀時"が銀時が
俺の最後の帰る場所となった。

「高杉、泣かないで」


「んう、」


唐突のキス。
優しくて優しくて涙がまた出た。
押し倒されて銀時のモノが当たる。
ああ、ヤられるんだ、と何故か俺は冷静だった。
何日間か着っぱなしのヨレたワイシャツに手を掛けられた。
俺の胸元がはだけて銀時の様子を窺うとゴクリと生唾を飲んで欲情の瞳で俺を見ていた。


「…いいの、高杉」


「……ッ、いい」


何でここで優しく声をかけるんだろうか。
せめて無理やり犯されるならば沖田や土方や神楽にした恨みや自分を誘拐した恨みが残るのに。
優しくされたら、
優しく、されたら恨みきれないじゃないか。


「んっ」


「良かった、高杉のここ、凄いドキドキしてる」


何が良かった、だ。
胸に手を置き、飾りを弄られ身体がビクリと跳ねた。


「ふあ、銀、」


「…敏感すぎ」


身体を愛おしむように愛撫され力が入らない。
銀時の手が下に下がっていって、ああ、もう。
「ああんっ」


握られてすぐに吐き出した。
流石の銀時も目を見開いて動揺している。
悪かったなオナニーだってロクにしてこなかったんだ。
でも銀時はクスリと笑って俺の自身を口に含んだ。
最初は先端を軽く舐めてからゆっくりゆっくりと深く含んでいく。身体が反応してビクビクと腰が動く。


「ん、んんっ、駄目、も、また…」


「何回でもイっていいよ」


「ふああ!、そこで話しちゃ…ッ」


二回目の絶頂に身体はぐったりとした。
疲れた、眠い…。


「あ!?」


眠ろうと目を瞑ろうとしたら尻に違和感ができ飛び起きた。


「寝るなよ、まだ」


俺が終わってない、と笑った銀時は俺の吐き出した精液を嫌らしく舐めた。
ゆっくりと入口を撫でられ挿入される。
排泄にしか使用されない穴が異物感でいっぱいになる。


「う、ンん」


ビクンと太股が跳ねると嬉しそうな表情で太股も甘噛みされた。
嗚呼、駄目だ、俺たちは今いけない事をしている。
みんな心配してるのに、


「高杉、いくよ…」


「ひ、ッ、あああ!」


ガツリと大きな熱の塊が中に入ってきて俺がハクハクと酸素を取り込んでいるのを気にせず銀時はガツンガツンと腰を振った。
痛い、血が、裂ける!


中に吐き出され汚されたと知る。
幸せそうな銀時の笑顔にどうしようもなく胸が高鳴るのは何なのだろうか…。



 
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