何回目かの誕生日、
   俺は温もりが欲しかった




気が付いたらアイツの吸い付くような白い肌に唇を寄せ、舐め上げていて腰の上に跨り自分より細い手首を片手で拘束していた。ああ、俺は何してんだ。でもこの細いラインに素肌を合わせると気持ち良い温もりが伝わって涙が出そうになった。


「あ、銀時」


その声は確かに高杉ので、でも普段では絶対有り得ない様な可愛い声だった。
必死で必死で汚いセックス。
余裕は全くない。
ただベチョベチョと汚らしく高杉の身体を舐めまわし、あんあんと言う高杉の可愛い声を耳に入れて温もりを感じていた。


「なあ、銀時、どうした」


明らかに欲情している声だったが冷静な声。
生理的な涙が溜まった瞳と目が合って我に返る。


「わかんね、え」


「そうか、」


「何で高杉押し倒してんだ」


「さあな、俺もわかんねえ」


「高杉、」

「ん?」


「寒いんだ、」


「もう10月だもんな」と微笑んだ高杉のぷっくりとした唇にかぶりつく。
高杉の唾液は飲み込むたび俺の体内へ流れ、それがどうしようもないくらい温かい。
何で、泣いてるんだ?
高杉の気持ち良い声が耳に入る。高杉を拘束していた手を離し自分の頬に触れると濡れていた。


「寂しい、のかも」


「は?」


戦争中に自分の誕生日を忘れかけてでも年齢なんかとっくにどこかに置いてきて、
だけど自分の前を駆ける高杉だけは忘れないよう、失わないよう、必死に必死に手繰り寄せたのにお前は勝手にヒラヒラといなくなっちまう。
お前の温もりが、欲しくて仕方がなかった。
想いに今更気が付いて、
ああ、あれ、こんなに俺って弱虫だったけ?はは。


「銀時、」


ふわっと高杉の香りがした。
お互いに半裸の状態で高杉は上半身を起こして俺の首に手を回して顔が近い、
そう、抱き締められた。


「た、高杉、?」


「離さないから、離さないで銀時、愛してる、愛してる」


震えた声が高杉が泣いてる事を分からせた。髪をくしゃりと撫でると高杉が顔を上げた。
涙で濡れた顔、唇にキスをした。


―…あたたけえ、


向かい合わせに座って
高杉の温もりがどうしようもなく
愛おしかった。


「銀時、」


「…ん?」


「誕生日おめでとう」


「…―ありがとう」


生まれてきてくれて
出会ってくれて
ありがとう、


Fin.


高杉の誕生日と一緒の
温もり関連で書きました。
ハッピーバースデー坂田くん!

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