大学の講義を終え、急いで筆記用具や教材をリュックにつめて背負った。
そして誰よりも早く教室を出る。
何故体育の苦手な俺がこんなに慌てて爆走しているか。
答えは、『ともえちゃん』の新刊発売日だからだ。
パスモを改札機に叩いて秋葉原駅行きのホームで電車の到着を貧乏揺すりをして待った。
秋葉原駅のアニメ専門店(アニメ●ト)で今日の新刊を購入すると特典でカードが付いてくるのだ。
普通の本屋ではしてくれない。
秋葉原駅に到着して走った。
店に入ると『ともえちゃん』の新刊が山のように積み重なっていた。
しかし、その積み重なっている本の下に大きく―…

『お一人様一冊のみ』

と書かれていた。
仕方ない、と思いつつも保存用の一冊が欲しい、と思っていると後ろから声が聞こえた。


「銀時、俺が一冊買ってやるよ」


サラサラの黒髪。
隻眼の妖艶、細いライン。

高杉くん。


「え、え、ああ、あ、う、いいの、いいの!?」


「…銀時の事好きだから」


頬を赤らめた高杉くんは、凄く可愛い。
もしかしたら『ともえちゃん』以上の―、いやいやまさか。


「あ、ぁあ、ありがとう!」


「おう、」


でも何で高杉くんは俺みたいな挙動不審なオタクの事が好きなのだろうか。
からかいの類、だったりして。
新刊を見事二冊手に入れた俺は、まるで雲を歩く足取りで店内を見回った。
店内にはキャラクターの絵がプリントされたお菓子のパッケージや、ポスター、フィギュア等が置かれていて周りには俺と同じ雰囲気を持ったオタクたち。
最近じゃ制服姿の女の子も多くなってきた。
今流行りの『腐女子』というものだろう。


「銀時」


「え、ああ、なに!?」


「…銀時は、俺のこと、」


……好き?、と首を傾げる高杉くんは、本当に本当に
俺は反射的に高杉くんの華奢な肩を掴んだ。
息が荒い俺は完全な不審者。


「ぎ、ん、」


高杉くんはそれなのに顔が赤くなった。
本当に、本当に…俺の事好き?
店内の一部の女子高生たちが俺達を見ている。
それが恥ずかしくて高杉くんの手を引っ張り店内から出た。

「た、たか、高杉く、ん」


体力のない俺は息切れ状態。
ハアハアと舐め回すように高杉くんを見た。
高杉くんは真っ直ぐと俺を見つめて次の言葉を待っているようだ。


「す、すき、すき、だよ、たか、たか、高杉くんっ」


ぎゅうぎゅうと抱き締めると嬉しそうに高杉くんは微笑んだ。

――――――――――
―――――――
―――


「ん、銀時、出来んのか?」


「…わ、分かんない」


高杉くんの制服に手をかけた。
高杉くんの瞳は快楽を期待するものだった。
漫画での知識しかない俺は完璧な童貞。
とにかく高杉くんの制服をむしり取ると露わになった白い肌に唇を恐る恐る寄せた。


「ぁ、んっ」


ピクンと高杉くんが跳ねた。
ああ、良かった感じてくれた。
ゆっくり胸を舐め回して舌をそのまま下へ持っていく。
ヘソのあたりで高杉くんが「いやっ、ん」と俺の頭をおさえた。


「それ以上、下は恥ずかし…っ」


高杉くん、顔真っ赤だ。
でも高杉くんって、もっと慣れてるのかと思ってた。
高杉くんの手を掴み拘束して口付ける。
意外と高杉くんは力が無かった。

「んんっ、ふ、あっ」


「高杉くん、高杉くん…っ」


ちゅうっと首筋を吸う。
これが漫画でみたキスマークなんだ、と痕を指で撫でると高杉くんは「銀時、恥ずかしい馬鹿」と、どこぞのヒロインかと言うほど真っ赤になった。


「あ、銀時、そんなしたら」


高杉くんの自身をベロリと舐め上げるとガクガクと細い腰が震えて可愛かった。
カプカプと口に含み舐めしゃぶるたび「あん、あん」と高杉くんは喘いでトロトロと白濁を零した。
精液は青臭い、と漫画の美少女は言っていたが高杉くんのは甘く、美味しかった。


「高杉くん、い、い、挿れて、い、いいか、な?」


「ん、早く、」


くぷくぷと高杉くんの中に入ってみた。
ヌルヌルしてて熱い。
ハアハア、と汚い呼吸を繰り返していると高杉くんが「好き、大好き」と俺の首に手を回してきた。
高杉くんの頬を撫でると、ぷっくりとした赤い唇が俺の唇にチョンッと当たった。


「ぎ、ん…」


「高杉くん……っ、っ」


ヌいた事はあっても数時間前は童貞だった俺の吐き出した量は多くて高杉くんの白いお腹がちょっぴり膨らんだ。
それを撫でると「妊娠してるみてえ、」と涙を流した。
俺もふと思い出した。
百合(GL)の美少女たちも子供は産めない、と泣いていた同人誌を。
そうか、高杉くんはきっと子供が欲しがっていたのかもしれない。
でも、高杉くんには子宮がない。


「た、たか、杉くん」


俺も情けなく泣いた。
そんな俺に高杉くんは目を見開いて優しく頭を撫でてくれた。


「…たか、すぎくん」


「そういうとこ、大好き」


ちょんっと触れた事故のようなキスをして高杉くんは風呂場へと行ってしまった。
真っ赤な耳を見てその背中を追いかけた。



 どんな美少女よりも
  高杉くんは可愛い。



 
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -