御別れのキス



私が書いた短編小説の硝子越しのキスをあーちゃん様が気に入って下さり、なんと続きを考えて下さりました!
ありがとうございますっ




俺は回復に向かい、今では集中治療室から普通の病室になった。最近は高杉が来るんじゃなくて、俺から行くようになっている。
俺達はやっと触れ合う事ができて幸せだ。
このまま幸運がこの間にあればいいと思う…


「最近また点滴やってんな…」


必要のなくなった点滴はまた必要となっているようだ。
赤かった肌は余計赤みを増して、痛々しい…


「うん……最近また具合がよくないみたいだ。」


俺が来るようになって間もないのに 初めての頃より変化が沢山ある。
例えば、咳の回数・看護師の来る回数…高杉は以前より痩せてるし、でも……どこと無く幸せな顔になっていってる。


「なァ……銀時、例えばの話しだ。
お前は一度 死ぬと言われて、回復したろ?」


俺とは目を合わせずに何処か遠くを見ながらポツポツと高杉は話す。
俺は頷きながら耳を傾ける


「もう一度死ぬって言われたらどうする?」


「そう……だなァ」


急にこんな話しになって戸惑うが、きちんと答えた。


「まだまだやりたい事あるし、高杉ともっといたい。
でもずっと触れたかった高杉に触れて、ちゅーもできたし……それはそれで満足だよ」


高杉は一度下を向いて、微笑みながら俺を見て そうだな と言った。
何故いきなりそんな事を聞くのか不思議に思った。まさに俺達は今そんな感じになってもおかしくないから何かあるのかと不安だ。
しかし、高杉から返ってきたのはそんなじゃなかった。


「いや、ガンとかなら再発とかあるけど…それ以外でも色々あるってテレビでやっててな?
もしそうなったら俺はどうするか、とか…銀時は何て言ってくれるかって気になってさ。
つか銀時 俺の事ほんと好きだよな。」


「なっ!!!」


恥ずかしくて顔を赤くするとクスっと笑って、俺も同じくらい好き なんて言うから余計顔に熱が集中する。
それからしばらく話していたが、高杉の咳がひどくなってきたので、明日また来る、ってキスして看護師呼んで 俺は自分の病室に戻る。
翌朝目が覚めて、準備するといつもの様に高杉の病室がいくが、そこでは医者や看護師が慌ただしく行き交ってた。
一人の看護師に近づき話しかける


「どうしたんですか?」


「ごめっ……後にしてくれっ」


そう言って走り去ってしまった。
そうやって入れ代わりにどんどん人が入るため、中々 病室に入る事ができない…


「坂田さんダメですっ!!!!!!」


無理矢理中に入ろうとすると、看護師に止められた。男だったから力ずくってのも無理で、文句言ってやろうと口を開く。


「あぁぁあぁあぁああぁあ!!!!!!!!!!!」


聞き慣れた声。もちろん俺のじゃなくて…


「…高………杉?」


あの叫び声のあと暴れる俺は自分の病室へ戻された。

何分…何時間たっただろう……
日が傾き始めた頃、病室に高杉が入ってきた。車椅子に乗り、看護師に押されながら…
俺の前までくると、高杉はありがとと看護師に言い、看護師は病室を去った。


「銀時、ごめんな……もう駄目なんだって。
言われたわけじゃなかったけど、薄々気づいてた…さっき悪化してよ、治療したせいでもう体力ねーんだ。んで車椅子乗ってんだ。」


頭が整理できずに、ちゃんと説明してと口を開いたが、高杉に止めたられた。


「もう時間だ……」


車椅子から力を振り絞り、高杉は立ち上がる。
不安定だったから俺が支えてやると キスをされた…あの時の、硝子越しにしたみたいなキスを。


「硝子越しじゃなくて…ちゃんと、ちゃんとしてる…
夢みてぇ……ありがと、銀時…」


そういって微笑んだ高杉はそのまま力無く崩れた。
俺は涙も流せず静かに抱きしめた。
次会えたらこんな病弱じゃない強い身体で会いに行くから……高杉も元気な身体で会いにこいよな。
現世の高杉に御別れのキス



*end*
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