「ちーくーさーぁ!!」
どたどたどたばたん!
主の部屋で服を畳んでいた俺は、いきなり扉を破壊しそうな勢いでとびこんできた主にちょっとだけ遠い目になってみた。振り向けばそこには、顔を真っ赤にして荒く息をする主。
「…なんですか」
「大変です、跳ね馬がピンチです!!」
「………はあ」
「どどどどどうしましょう僕こんなところでグダグダしてていいんでしょうか死亡フラグ立てっぱなしたまま部屋で茶しばいてていいんでしょうか…!!」
「…骸様、ひとまず落ち着かれては…」
両肩をつかまれてがくがくとしながらとりあえずそういってみる。眼鏡がずれて落ちそうだ。心底めんどい。
「こっ、これが落ち着いてなどいられますか!跳ね馬がっ、僕の跳ね馬がマシュマロ男風情にいぃいいい」
「むく、むくろ、さまおちおちついて」
「ディーノは僕のなのにあんなスカタンになんかやれませんよ最近の本誌の展開に絶望した!!」
「窓から叫ばないでください近所迷惑です」
スパーン!と開け放った窓から飛び出しそうな勢いの主に釘を刺す。ここ三階ですから。さすがの骸様でも無理ですから。
「…はっ!こうしてはいられません」
「…今度はなんですか」
「僕これからディーノのところに行ってきます」
「いえあの、それはタイミング的にどうかと」
「本誌の展開など僕にはなんの問題もありません、問題なのは僕のディーノの貞操が危険だということそれのみです!!」
「妄想が飛躍しすぎです」
じゃあ僕行ってきますね待ってろマシュマロ野郎ー!どたどたがちゃばたん。
「………行ってらっしゃいませ」
手元で畳んだタオルを横に置きながら、俺がいえたのはそれだけだった。
(骸様が元気ならまあいいか…)
(…めんどい…)