【スーパーにて】

「あ、オネエサン! こんばんは!」
「こんばんは。お買い物ですか」
「そーなんスよ。んで、ちょっと聞いてもいいっスか」
「? 火神さんはいらっしゃらないんですか?」
「えと、今、あいつ風邪ひいてて。だから、今日はオレが作んないとで」
「……なるほど。私で分かるものなら」
「オネエサンて辛いもの平気ですか?」
「ちょっと待ってもらっていいですか?」
「はい」
「火神さん風邪ひいてるんですよね。辛いものは駄目だと思います」
「でも体あったまるって」
「それは健康な人限定です。むせて悪化したらどうするんですか。普通におかゆじゃだめなんですか」
「おかゆ……オレおかゆ作れない……」
「(こいつ使えねえな) 現代日本にはレトルトおかゆってものもありますので。お鍋に出して火であっためるだけです。それならできますよね?」
「焦げないお鍋の手触りってどんなスか」
「(こいつマジで使えねえな) 火神さん普段から手入れなさってると思いますし、鉄かテフロンなら良いんじゃないでしょうか」
「おかゆに何か入れた方がいいっスか?」
「雑炊ならまだしも、おかゆならたまごか梅干しくらいで大丈夫と思います」
「……オネエサン」
「なんでしょう」
「オレたまご割れな」
「気がすむまで林檎でもすってろ」
「!?」


【裏の空き地にて】

「ら〜りら〜りらっひひ〜やらっひひ〜やらっひひ〜♪ ら〜りら〜りらっひひ〜やらっひひ〜やら〜♪ くちぶ〜えはなぜ〜とおく〜まっで〜きこえ〜る〜の〜あのく〜もはなぜ〜わた〜しをまってるの〜♪ ねぇハニーなぜなの? どうしてだと思う? 待ってない? そもそも待ってないって? そっぽ向いちゃいや〜ん、ハニーちゃんこっち向いて〜! 私を見て! ハニー! ヘイハニー! ラブソースイートハニーちゃ〜ん? ウォウッウォウッイエ〜イェ〜イエイエ〜そろそろあったかいわよね〜ハニーこんな季節二度とないわよ〜なんちゃって! なーんちゃって! どんだけ〜! 何よハニーそんな目で見たっておやつはあげないわよ、ほらほら走って! 行くわよハニー、私を捕まえてご覧なさ〜〜〜どうもこんにちは火神さんお体の具合はいかがですか」
「よ、よくなった、です」
「それは何よりですどうもすみませんでしたお構いなく」


【近所の薬局にて】

「歯ブラシ新しいの買っていい?」
「ん、そろそろ古くなってきたか。好きなの選べ」
「赤か水色……悩む」
「たまには違うやつにすっかな」
「アンタは黄色以外選んだら命はないと思え」
「理不尽にもほどがあるだろ!」
「難しい日本語覚えたっスねー」
「くろこに会う度言われりゃ覚えるわ」
「オレのいない間にくろこっちと会うのずるいっス!」
「(家でやれこの全方位型人災ホモ)」


【ごみ収集所にて】

「あれ、火神さん。おはようございます」
「ミズ。おはよう、ございます」
「珍しく早朝にお会いしましたね」
「バイト終わって今来た、です。いつもは自分の家にいるんですけど」
「こ、こんな朝終わりのバイトですか」
「居酒屋です。時々、ヘルプで。メインはベーカリーでバイトしてる、です」
「鉄板のご飯系……! あれ、でもどうして今日はこっちに?」
「あー、その、……メールが」
「メール」
「…………今すぐ来いって言うんで」
「今すぐ」
「ハイ」
「さみしいから会いたいっス、とかいう」
「えーと、ハイ」
「来ちゃうんですね」
「……まあ」
「まだ週明けてばかりなのに」
「…………まあ」
「……お疲れさまです」
「まあ、会いたいのは、一緒なんで」
「(かわいいけどかわいいって言ったらボス戦突入な予感)」
「な、なんて。はは」
「火神さんほんとかわいい」
「オレが起きるまでにこいって言ったろバカガミー!!」
「ほらきたー!!」
「……ふたりとも、朝だから静かにな」


【深夜のコンビニ前にて】

「かがみのかがみのまがりかど〜」
「おう」
「まゆげだまゆげだおちばたき〜」
「いきなりだな」
「わ〜たろ〜か〜まがろ〜よ〜」
「おう」
「ふたりでもやせばこわくない〜」
「結局燃やすのか」
「かがみのまゆげはおれがまもる!!」
「声小さめにな」
「みずかって」
「家にあるからお前は帰ってから」
「ん〜ん〜 かーがみー」
「ん? 買ったからもう帰、」
「ひっかかったー!」
「お、前な!」
「うははー!」
「あんまかわいーことしてっと、酔ってたって襲うぞ」
「よってないっす!」
「ほー? 言ったな?」
「かがみのえっちー」
「お前のその顔が一番えっちだよ」
「えっち! かわいい! もっかい!」
「でかい声で連呼すんな」
「(今すぐロードローラーで轢きたい)」


【自宅の和室にて】

「ん、おう、オレ。はいはい。どうした? おう、もういるけど。迎え? いいぜ、今どこだ? んー、ああ、あそこか。歩けるか? 近くに公園あったろ、そうそう、そこまで行ってベンチ座ってろ。ん、なんだよ。涼太? ……分かってる。好きだぜ、涼太。愛してる。……なんだよ、お前が言ったんだろ。ぶは、お前、どんだけっ……はは! 悪かったって。すぐ行くから、コンビニで飲みもんでも買って飲んでろよ。体冷やすな。上着持ってくか? ……おう、はいはい。涼太くん良い子で待ってられるかなー? ……ぶっは! お前結構酔ってんな。はーいはい。涼太? ……りょーうた。涼太。電話切んないと迎えいけねーぞ? ……分かった。ん、10分くらいだから。すぐ行く。転ぶなよ」


「ハニーちゃんチンゲン菜食べる?」



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