「釣れねーな」
「そうだねー」
「よし。歌うか、ベポ」
「うたう?」
「びんくすーのさーけをー」
「あ、おれも知ってる!」
「とーどけーにいーくよー」
「うーみかーぜきーまかーせ」
「なーみまーかせー」
「へへへ」
「ベポは上手だなー」
「キャスもうたうのすきだもんね!」
「やっぱ海賊なら歌わないとな! ていうかペンギンも歌えよ」
「おれに話をふるな」
「あらやだこの人ったら」
「黙れ沈めるぞ」
「ペンギンはうたうのきらい?」
「…嫌いじゃない、が、人前で歌うのは好きじゃない」
「へえー」
「ペンギンは宴のときでも歌ったり踊ったりしないもんなー」
「全員が全員騒いでどうする」
「それが宴だっつーの」

「やあこれは皆さまお揃いで」
「サラワもやる? 釣り」
「生憎僕は釣りが苦手でして。釣れますか?」
「全然」
「つれないよー」
「全く」
「ふふ。先程の歌は料理人さんですか」
「おれとベポで歌ってみました」
「さかなもうたすきかなーサラワー」
「どうでしょう。航海士さんも歌えば分かるような気がしますが」
「誘導するのはやめろサラワ」
「おやおや、いつ僕がそんなことを」
「なー、ペンギンも歌えばいいのになー」
「キャプテンは時々うたってくれるよ!」
「まじ!? ベポそれまじ!?」
「船長さんの歌声とはまた希少な体験をしましたねぇ」
「特に聞くほどのものでも」
「ペンギンそれ以上はちょっと」
「悪い口がすべった」
「戦闘員さん、船長さんはどんな歌を?」
「えっとねー、この前うたってくれたのはあめあめくまさんっていうのだった」
「悪いもう一回」
「あめあめくまさん」
「……続けて」
「ベポみたいでかわいいだろって」
「……へ、へえー…」
「それみろ」
「…どんなお歌ですか、それ」
「おーやまーにあーめーがふーってーきてー」
「ほう」
「つーぎかーらつーぎかーらふーってーきてー」
「うんうん」
「ちょーろちょーろおーがわーになーりまーしたー♪」
「クマさんは?」
「このつぎでてくるよ」

「随分とかわいらしい旋律ですねぇ」
「船長が好きそうなメロディだな」
「これをねーキャプテンはふりつけしながらうたってくれる」
「ふりつけ!!?」
「いーたずーらくーまのーこやーってーきてー」
「ほうほう」
「そーっとのーぞいーてみーてまーしたー」
「臨場感あふれてますねー」
「さーかなーがいーるかーとみーてまーしたー♪」
「何それかわいい」
「キャプテンうたすっごくじょうずなんだよ!」
「ベポの特権だな」
「微笑ましいですね」
「そんなに聞きてェなら歌ってやるが」



「船長おはようございます」
「なんだ今の間は」
「船長お腹空きました?」
「なんでその質問だ」
「船長さんにおかれましては本日もご機嫌麗しく」
「なんの口上だお前は。というかなんだお前ら」
「キャプテン今日もかっこいいよ!」
「そうかベポ!! お前も今日も一段とかわいいぞ!!」
「やあこれはまた全然釣れませんね」
「この辺りはいないのかもな。魚」
「何も見えませんからねえ」
「サラワに見えないとかまじで何もいなくね…」
「釣りっつうのはこの時間を楽しむもんだろうが。おれに貸してみろ」
「せんちょー落っこちないでくださいよー」
「落ちたらお前が拾いに来い」
「そりゃもちろん行きますけどまず落ちないでください」
「キャプテンおちたらかぜひいちゃうよ」
「大丈夫だベポ、おれは船際のプロだ」
「船長、さすがにそれは意味が分かりません」
「いやあ良い風ですねぇ」


「あっ、船長ひいてる! ひいてる!!」
「うおっ」
「これは大きそうですよ」
「船長頑張ってください」
「せんちょーがんばれー!」
「竿折れちまいそうだけど頑張っていいのか」
「エッアッそれはちょっと」
「あ」


「せんちょおおおお!!」
「落ちたな。船際のプロ」
「これは景気のいい落ちっぷり」
「やっべええええせんちょう落ちたあああ!!」
「キャプテーン!!」
「ぐだぐだ言ってないでお前も行って来い」
「のーー!!!」
「日常って感じですねえ」
「キャプテンもキャスもがんばってー!」
「波が冷たくなってきたな。風も強い」
「うーん、もしかしなくてもあれは怪しい雲なんでしょうか」
「え、え、ふたりともまにあう!?」
「キャスの泳ぎの技術にかかってる。ベポ、釣竿まとめて片付けておいてくれ」
「ア、アイアイ!」
「サラワはおれとロープ係な」
「了解いたしました」






「ぺんぎんんんん!! あっちから雨がちょうすげえええええ!!」
「うるさいわめくな暴れるな引っ張るな。すぐ引き上げる」
「めっちゃこええええ!!」
「船長落とすなよ」
「これは結構な風ですね」
「面倒だな。キャス、ロープに船長だけつなげ」
「それはどういういみ!!?」
「お前は自力であがってこい」
「ペンギンのきちくー!!!」
「早くしないと転覆しますよー」

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