たまになにもかもが嫌になるときがある。分厚い椅子、厳重に警備された部屋、オレの城。そのどれもがただの虚像に見えるときが、ある。オレはため息をついた。

なんとなくそういう気分になって、ポケットに入れていた煙草に火をつけた。軽く吸い込んでも味は分からない。麻痺しきった自分自身に吐き気がする。大理石ででも造られていそうなデスクを、思い切り蹴り上げてみたくなった。そうしたら誰かとびこんでくるだろうか。どうせいつもの癇癪ととられる。くだらない。

この部屋に灰皿はないので、仕方なく自分の手で握りこんで消した。熱かったけれど堪えきれないことはない。開いた手のひらににじむ痕と、役目を終えたばかりの灰が目に痛かった。心に、痛かった。思考を止めて目を閉じる。


オレからボンゴレ十代目をとったら、きっとただの燃えかすが残るんだろう。

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