例えば目の前の恋人にいかにしてオレの男気を表明するか、という点において。


「…涼ちゃんてさぁ」

「んあ?」

「なんでそんなにでっかくなっちゃったの」


なんの特別さも感じられない東京のありふれたチェーン店、そこでパスタを巻き巻きしながら、向かいの席でピザをめいっぱい頬張ってオレを見返した黄色い頭に苦笑した。なんだかなあ、この子のこゆとこってすごくカワイイと思う。男相手にカワイイって、なかなか思えるもんじゃねえとは思うけど。


「でっかく…なんでスかねぇ」

「涼ちゃん、牛乳スキ?」

「そーでも。むしろスポドリばっか飲んでるっスよ?」

「…ということは牛乳で背が伸びるのは嘘ってことだね」

「牛乳のいいとこなんて骨が丈夫になるくらいじゃねっスか」


和っち牛乳スキっスもんねえ、涼ちゃんがしみじみといいながらむにーと伸びるチーズを指ですくう。真ちゃんだって牛乳よりはおしるこを飲んでて、それでもあの身長だ。世の中はどう見ても不公平の塊である。

涼ちゃんはどんよりするオレの皿からパスタをひとまきかっぱらって(涼ちゃんといい真ちゃんといいキセキはオレにワガママばっかりな気がする)、あ、これおいしいなんて言いながら、確実に拗ねた顔をしているであろうオレににやりとムカつく笑みを見せた。


「いーじゃねっスか、オヒメサマ抱っこなんて出来なくても」

「…男のロマンだと思ったんだよほっといてほんと」

「そんなことしなくても和っちがカッコイイのは知ってるし」


撮影の時みたいに優雅な仕草で、コップからコーラを飲んでテーブルに肘をつく。きらりと流れる金茶の髪、モデルの顔は時として凶器だ。


「身長とか、ベッドの上じゃ関係ないんだからさ」




いけ好かない受け黄瀬に飢えています
高尾さんが攻めなのにかっこよくなくて涙目
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