窓際の席でぽかぽかとお日様の光を浴びる。お昼の直後だから満腹なせいで眠気も尋常じゃなくて、先生の話なんか全く耳に入らない。またひとつくあ、とあくびが漏れて、先生に睨まれる前に慌てて口に手をあてた。いけないいけない。
まだ授業も始まったばかりで、居眠りをしようとしてもなかなか難しい先生だ。オレはカバンからこっそり携帯を取り出して、机の中でぷちぷちとメールを打った。
to:かがみっち
sub:ねー
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ひまー
ぱちりと閉めてまたあくび。今日はほんと眠い。
返事なんか来ないだろーと思ってそのままうとうとしてたら、手のひらの中でマナーモードにしてある携帯がブブッとメールの着信を知らせた。あれ、珍しいの。
to:黄瀬
sub:バカか
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はなしきけ
たった一言だけ、だけどそれが無性に嬉しくて、そのままぷちぷちと返事を打つ。
to:かがみっち
sub:だって
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ねむいんすもん
to:黄瀬
sub:だってじゃねーよ
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ねてんな
to:かがみっち
sub:うっさいっす
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かがみっちだって
ねてるくせに!
to:黄瀬
sub:うっせ
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まえむいてろって
to:かがみっち
sub:えー
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つまんないすもん
火神っちなんかうける
こといって
to:黄瀬
sub:おい
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なんだそのむちゃぶり
ねーよ
to:かがみっち
sub:うわ
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無茶振りとかいう現代
語火神っちのメールに
あるとうける
あと何か告って
to:黄瀬
sub:あー
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ならよかったな
あとしね
to:かがみっち
sub:ひど!
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しねとかねっすよ!
オレはこんなに火神っち
大好きなのに><
to:黄瀬
sub:うるせえ
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かわいこぶんな
to:かがみっち
sub:ちょ
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あんまりじゃねっすかこ
れ…火神っちひどい
でも好き!
to:黄瀬
sub:あー
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おれもすきだよ
「え!? マジ!?」
「よし黄瀬ー、そんなにやる気があるなら問3のカッコ2やってみろ」
「さんるーとに!」
「はい不正解」
教科書で一発ビシッと叩かれた。後ろからじゃなかったから携帯には気づかれなかったみたいで、どっと笑うクラスメイトと痛む頭にちくしょーと悪態をつくだけにとどめる。話聞けとかって、ちくしょう、最もです先生スマッセン。
授業中なんてなかなか返事をしてくれない火神っちがこんなに返してくれるのが嬉しくて、つい夢中になってメールをしてしまった。笠松センパイにでもバレたらシバかれるどころの騒ぎじゃないだろう。でも今はそんなの気にならないくらい嬉しくて、とりあえずとそれを保護してもう二、三度眺めた。すき、だって。火神っちかわいい。
to:かがみっち
sub:さっきの
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ほごった!
to:黄瀬
sub:Re:
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マジバのダブルチキンバ
ーガーが
「ああああんまりっスー!」
「黄瀬、もういいからお前廊下立ってろ」
頭悪そうな黄瀬が書ければもうなんでもいいです!(爽笑)
ちなみに火神っちは自習でした