こいつはいつも突拍子がないと思う。


「ハイ日向、あーん」

「…イヤなんでだよ!」

「ツッコミはいいから口開けろよ」


箸で挟んだ豚肉の炒め物と伊月の目を視線が行ったり来たり、拗ねたような表情の中に少しの緊張を見てとって、とりあえずは食えそうだと判断して渋々と口を開けた。途端に嬉しそうな顔になって、オレの口に箸がつっこまれた。…いやまあ、普通に美味かった。何かよかった。


「どう?」

「どうって、まあ、普通にウマイ」

「普通ってなんだよ。もうちょっと嬉しくなるような褒め言葉使えよ」

「褒めるったって…アレ、今のもしかしてお前が作ったのか?」


むぐむぐと動かしていた口をぴたりととめて問えば、伊月はえ、と言ったきり俯いてしまった。口元に手をあてて何か呟いている。ていうかお前、耳まで真っ赤だぞ。大丈夫か。


「伊月?」

「…なんでもない。そう、オレが作った」

「へえー。お前料理ウマイもんな、さすが」

「うん。で、おいしかった?」

「ん? あ、おう。肉の炒め物って感じ」

「それ褒めてねぇだろー」


なんとか不器用に褒めてみたら、伊月らしい顔でふにゃりと笑われた。どうやら今の反応はハズレではなかったらしい。もう一口どう? と勧められた箸に、今度は抵抗なくぱくりと食いつく。目の前の伊月は嬉しそうだ。何が嬉しいんだかは、オレにはよく分からなかった。





「カントクよりはウマイ」とかぶっちゃけるキャプテンも好きです(酷いな)
俊さんはキャプのことほんと好きだよなあと思います。日月萌え。
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