「みとべみとべーっ!」
廊下を歩いているだけでも、すぐに見つけてくれる存在がある。
「みーとべっ!」
声にまず振り向いたら、小さい体が勢いよくとびこんで来た。驚いて足で自身を支える。体の大きさがかなり違うとはいっても、同じ歳の男の子の全力を受け止めるのは案外大変だ。
「水戸部、なにしてたの? どこ行くの?」
コガ。コガの細い目がオレを見て、それから嬉しそうに破顔する。その瞬間が好きだった。小さく首を傾げれば、コガはそっかあ、とオレの体に回した腕をぎゅうっと強める。コガは小さいけど、力はそんなのものともしないくらい強い。
「職員室行ったからいなかったんだなー。水戸部いないとさぁ、なんか探しちゃうんだよね、オレ。水戸部はどう?」
コガの目がくるくると光る。それがなんとなく嬉しくて、オレもコガをぎゅっと抱きしめた。なんだなんだー! なんてけらけらと笑う、コガがとても好きだと思った。さっきの質問、本当はコガを探していたんだといったらコガはびっくりするだろうか。
好きだよコガ。この気持ちが、少しでも伝わってたらいい。
「オレも大好きだよ、みとべ!」