真ちゃんのほっぺってやーらかそう、思った次の瞬間にはもうオレの指でそのほっぺを思いっきり突っついていた。


「…何をしているのだよ」

「…さ、触ってみちゃっ…た?」

「…どけろ」


ぺしりと払われる。そこでやっとこさ体が動いた。自分でも予測していなかったままに触ってしまったせいで固まっていたオレにはありがたい、…じゃねーよもったいねー!


「し! 真ちゃんもう一回!」

「何がだ」

「ほっぺつんって!」

「だが断る」

「お、おうっ…一番いい待遇を頼む」

「そのまま行け。リアルは戻らないがそういう運命だ、受け入れろ」

「そういう意味じゃねー!!」


眼鏡を直してははんと鼻であしらわれる。真ちゃんがオレをバカにするのは日常茶飯事なのでもう文句をいう気力はないが、この程度の要望を受け入れてくれないのではあまりに理不尽ではなかろうか。普段からオレをこき使うくせに、ほっぺのひとつもつんつんさせてくれないとは。


「いーじゃんほっぺのひとつやふたつ! 減るもんでなし!」

「減ったら困るだろう」

「いやだからそういう意味じゃねえっつーの!」

「オマエの減らず口は少しくらい減ってもいいと思うがな」

「あーいえばこーいう! このヘリクツめがね!」

「うるさいちび助。きゃんきゃんわめいて子犬かオマエは」

「ちっ…ちびっつったー! 真ちゃんがちびっつったぁぁぁ!!」


オレの真ちゃんに対するなけなしのプライドはもうずたずたである。こんなのあんまりだ、この悪の大魔王め! ほっぺくらい触らせろ!

うわーんもう真ちゃんなんかダイスキバカヤロウって学校中の黒板の隅っこにちっちゃく彫ってやると叫びつつダッシュかつ脱兎、しようと思ったらいつの間にか真ちゃんの長い手足がオレをすっぽりと包み込んでいた。真ちゃんあったかい。じゃねーってばだから。


「…真ちゃん?」

「…この大きさだからいいんだろう。変なところにコンプレックスを持つな、バカめ」


はああ、と盛大にため息をつかれたのはともかく、…今のはデレととってもいいんだろうか。おおう。真ちゃんてば男前。

ぎゅうっと抱きしめられたそれがちょっと緩んだら振り向いて、そのほっぺに今度は指じゃなくて唇で触れてみようと思った。



諦めの悪いオレも好きだろ。な、真ちゃん?










隠れたデレに結局気づかなかった高尾さん。
真ちゃんに一所懸命な受け高尾さんも大好きです。めちゃくちゃ可愛いです。みどたかたまらん。




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