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キラキラ光るきんのいろ。 お日様みたいだった。 なんだかとてもまぶしくて、心がぎゅっとなる、色だった。 「あっ! 黄瀬ーー!」 チリンチリーン。 聞き慣れた音を鳴らして、大きな自転車をゆったりとこいで。 そいつはこちらにやってきた。 俺を見つけた黄瀬は、あからさまにイヤそうな顔を向けてきた。 ……シツレイな奴だな。 自転車を止めるために降りたスキを狙って、背後に回って頭突き! うわっと黄瀬が声を上げる。 足をふらふらさせて、いかにも倒れそうな様子に俺は満足して、えっへん、と手を組んで見たりする。 「何するんスか。危ないでしょー」 あ、持ち直した。 振り返った黄瀬がにこーっと笑いかけてくる。 わざと倒れる素振りをされたことがわかって、顔がカッと熱くなる。 ー―こいつ、俺が声をかけなかったらぜったい無視する気だったろ! ムスッとむくれて、だけど悔しくて顔なんか絶対見られたくなくて、俺は足元を見つめる。 ピッカピカに光る、新品の真っ赤なシューズが映った。 ……せっかく、せっかく、おれが。 「あれ? たいが、その靴新品っすか? カッコイイすね!」 降ってきた声に顔をあげたら、さっきとは違う顔をした黄瀬が、俺の靴を指さして笑っている。 ああ。いつかみた色。 キラキラ光る、きんのいろ。 「いいだろ! かっこいいだろ!!」 あのきれいでお日様みたいな色をみた俺の心のどっかが、いつかのようにぎゅっと、 ぎゅっとなって、 それだけで。 それまでの黄瀬への嫌なきもちなんて、どっかへ吹っ飛んでいってしまった。
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