あのとき、一体どうするのが正解だったのだろう。 アルバがいなくなって一ヵ月、毎日のように頭に浮かぶ疑問に答えは出ない。 けれど、なにも言わずに見送ったのが間違いだったということだけは嫌でもわかった。 アルバの姿がないと知った朝の錯乱した様子やその後の抜け殻のような状態からすれば今の船長は立ち直ったかのように見える。 見える、だけだ。 船にいるほとんどの時間を自室で過ごすようになった船長を心配して船長室へ足を向けたとき、目にしてしまった光景を思い出して歯を食いしばった。 懺悔するようにアルバの手を握りしめ、まるでそこにアルバがいるとでもいうように腕に向かって語りかける船長は、もうどうしようもないほど壊れちまってる。 なァ、アルバ。 船長はあの日から酒を飲まなくなったよ。 今までの不養生が嘘みたいに、日が落ちたら眠って、朝起きたら食堂に顔見せて。 多分船長はあの日をやり直そうとしてるんだ。 いつお前に好きか嫌いか聞かれてもちゃんと答えられるようにして、寝て起きたらお前がいる日常が戻ってるんじゃないかと期待してる。 だから、頼むから、なァ、アルバ。 頼むから。 船長を治せるのはお前しかいないんだ。 |