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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




……このまま船を去ろう。
さっきまで腕がないと大変だと慌てていたのに、今では腕なんてどうでもいいと思っている自分に苦笑した。
船長に「嫌いだ」と告げられただけ。
それだけのことで、生きるためのビジョンが明確に浮かばなくなっている。
しかし悲しくはなかった。
むしろ気分は晴れやかですらある。
ひんやりした心臓もなにも考えられない頭も、がらんどうの心だってそう悪くない。
船長もおれの顔なんか見たくないだろうし、右腕はいらなかったら捨ててくれと誰かに言伝を頼めばいい。
痛みを感じるようなら切断面より上を切り離せばいいだけの話だ。
確かこの島をとりまく海流は一月に一度真逆に変わるんだとか。
海流の変更時間は明日の明け方だったはずだから、今船を出せば万が一にも追われる心配はなくなる。
善は急げ。
適当に荷物をまとめて小さい船を拝借して、夜のうちに島を離れるんだ。
遭難も難破も怖くない。
怖いことはもう終わった。
もうおれには、なにもない。