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「#幼馴染」のBL小説を読む
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私はプクリン。
長く生きてはいるが、それ以上でも以下でもない。
賢者のように物事をよく知っているわけでもなく勇者のようにバトルが強いわけでもなく、ただ私は生きている。
何十年か前にパートナーを亡くした後、その子供達に譲られながらも私は一匹で生きてきた。
多くのポケモンにとって生涯を共にしたパートナーは唯一絶対の存在なのだ。
だから彼の人が天に召されてから私は一匹。
誰に譲られ誰と共にあろうとそれは変わらない。
変わらないと、そう思っていた。

それが少しずつ変わってきたのはパートナーの何人目かの孫であるジョウゴと一緒に暮らすようになってからだ。
一人二人と子供の数が増えるたび彼の人の血は薄れ、ジョウゴからは最早代々微かに感じられる面影すらも消えていた。
真面目で実直、何があっても諦めるということをしなかったかつてのパートナーやその血を引く子孫達と違い放っておくとどこまでも自堕落になるジョウゴ。
どこをどう見ても別人で、彼の人との繋がりなど欠片も見つけることができなくて。

当たり前だ。
彼の人はもういない。
ジョウゴだけが特別なのではなく、今まで私が渡り歩いてきた子供たちの誰もが彼の人とは全く別の存在。
唯一の存在であるとしていたパートナーなのに、私は愚かにもその代用品を見つけようとしていたのだ。
彼の人はただ一人、他の人間もただ一人、同じ人間なんているはずがないのに。

そんなことを考えて愕然としながら隣を見ると、隣にはジョウゴがいた。
ポケモンの私から見ても不健康そうな食事を摘まみ酒に酔い
仕事について愚痴りながら私をブラッシングするジョウゴはあまりにもダメ人間である。
しかしながら今私の隣にいて私と共に生きているのはジョウゴだ。
つまり、今の私のパートナーはジョウゴなのだろう。

その結論に至った後は今まで生きてきた時間は何だったのかと思うほどにめまぐるしかった。
パートナーとしてジョウゴを支えるべく愚痴を聞き発破をかけ癒し慰め全力で尽くした。
私がいるくせに『一人で生きていく』とのたまうジョウゴ当たりもしたが、それでも今までよりよほど気を使って生活した。

ら、これだ。

ジョウゴが一人寂しそうに床についたあと勝手にモンスターボールから出てきて何かしらの技を使おうと苦心しているスリーパーをじっと見つめる。
目があった。
目で殺すことができたなら私はこれで二回こいつを殺していることになるだろう。
元来私の種族は嫉妬深い性質をもっている。
今までは彼の人の面影を追っていたからそう表に出てこなかったが、それを吹っ切った傍から新しいポケモンを連れてくるとは何事か。
いや、ジョウゴはあまりこいつを歓迎している様子ではなかった。
つまりこいつが勝手にくっついてきたのだ。
なんと忌々しい。

静かに、しかし滾る怒りをこめて見つめるとスリーパーがたじろいだ。
ジョウゴの力でエスパー技が封じられている今、争えば勝つのは私だろう。
しかしそんなことはしない。
部屋の中で暴れて散らかしたらジョウゴはそれを理由に仕事をさぼろうとするはず。
あのダメ人間にそんな余地を残すことは許されないのだ。
お互い視線を外すことなく数分が経過し、私はゆっくりと動いた。
ベッド脇にいたスリーパーを押しのけ布団の中にもぐりこむ。
無意識に私を抱き込んだ瞬間どこか寝苦しそうだったジョウゴの顔が和らいだ。
確信、私のほかに何匹いようが一番必要とされるのは私だ。

苛立っている様子の新参者に向けて、私は勝利の笑みを浮かべた。