「……ただいまー、っ」 扉を開けると目の前でプクリンさんが待っていらっしゃいました。 普段は奥の部屋でくつろいでるから、明らかに察知されていたのだろう。 「えっと、ちょっと色々あって……ごめんなさい」 言い訳を許さぬその眼力、やっぱりプクリンさん怖いです。 俺からすいと視線を逸らし水色の真ん丸な瞳が見つめる先には不機嫌そうな黄色いポケモン。 そう、さっきのロリ誘拐のロリーパーだ。 八つ当たりでフルぼっこにしたらぴったり十センチ間隔ではりついて離れなくなってしまったのである。 撒いても撒いてもいつの間にやら後ろにいて、ついには家までついてきてしまった。 殴られてMに目覚めたとかではなく、どちらかというと報復の機会を窺う的な感じで。 別にそれはいい。 部屋単位でわざの無効化できるから大した脅威じゃないし。 問題は、不可抗力とはいえプクリンの許可なく家の敷地内にポケモンを連れてきてしまったことだ。 一応家主は俺なんだけどプクリンの雰囲気は家主を軽く超えている。 世界広しといえどポケモンを連れ込む際お伺いを立てて然るべきだと思わせるポケモンもなかなかいないだろう。 「…………」 「あのープクリンごめ、!ほらみろプクリンの機嫌悪くなっただからついてくるなって言ったじゃないかバカロリーパー!」 相変わらずの無表情、ただし明らかにご立腹な様子で奥の部屋へ入っていってしまったプクリンに俺は肩を落とした。 明日も仕事、つまり早く寝て早く起きないといけないのに。 「プクリン怒ると一緒に寝てくれないんだよなぁ……どうしよう」 普段からツヤツヤふかふかぬくぬくな寝心地を体験している俺にとってプクリンのいないベッドは硬い床と変わりないのだ。 眠れることは眠れる、ただし全く疲れが取れない。 俺が重いため息をつく後ろ、スリーパーがプクリンを睨んでいる気配を感じたのでとりあえずモンスターボールに封印してやった。 プクリンさんに逆らうでないよこのお馬鹿。 ていうかこんな手持ちいらねぇ。 |