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他のジムの内情は知らないけれど俺が所属しているエンジンシティジムのトレーナーはみんな向上心に溢れていて、しかしギスギスしたところはない良いジムだ。
そんなジムに所属できてよかったと思う反面どうしても感じるのがジェネレーションギャップというやつで、バトル後の反省会もかねてメシを食いながら話しでもしようものなら悪意のない一言にハートをざっくり傷つけられる羽目になる。
ちなみに最近で一番きつかったのは「その番組うちの父も好きだったって言ってました」で二番目は「前チャンピオンってそんなに強かったんですか」。
カブさんからはいつまでも若者扱いされるけどチャンピオンといえばダンデの世代にとって俺はれっきとしたおじさんなのだ。
仕方のないことではあるが胸が痛い。
ゆえに、たまの同年代との飲み会はめちゃくちゃ楽しい。
昔の話でも今の話しでもわざわざ話題を探らずとも簡単に盛り上がれるし、ジェネレーションギャップの話しだって「やんなっちゃうよなぁ」と笑いながら酒の肴にできる。
楽しくて楽しくて、本当にとっても楽しかったからこの素敵な気持ちを共有しようと家に帰って風呂上がりらしいカブさんにあんなことを話したこんなことを話したと報告していたのだが、うんうんと頷いていたカブさんがしばらく無反応になった後言い放った言葉に俺は心底ギョッとした。

「そんなに同世代での会話が楽しいなら、ぼくなんかよりもっと若い子を恋人にすればいいんじゃないかな」

さらりと涼しい顔で言われたことに唖然として、酒でふわふわしていたところへ氷水をぶっかけられたみたいに固まっているとあまりの反応を見かねたらしいカブさんに「冗談だよ」と肩を叩かれた。
冗談。
よかった、死ぬかと思った。
俺が好きなのは歳とか世代とか関係なくカブさんだけなのに、あの流れで別れ話されてたら多分いまごろ心臓止まって息してない。

「……きみからすればぼくは年寄りで達観してるように見えるのかもしれないけどね。ぼくみたいなじじいでも嫉妬はするんだよ、一応」
「あっすみません心臓が」

あとさっきのは本当にただの冗談だからね絶対本気にしたらだめだよと釘を刺されてまじで呼吸ができなくなった。
誰か救急車お願いします年上の恋人の攻撃力高すぎて死ぬ。