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本当にひどい男だと思う。
誰がって、ダンデだ。
おれの決死の告白を簡単にスルーして友情扱いしておきながら言い逃れできないようにキスして付き合ってくれと詰め寄ったら「考えさせてくれ」と顔を赤らめるなんて、残酷すぎる。
だって友人だとしか思ってなかったんだろう。
きちんと雰囲気作りした上での好きという言葉を寸分の迷いもなくライクだと判断される時点で普通なら脈なんてないも同然なのになんでそんな期待させるようなことができるのか。
しかも考えさせてくれと言って待たせるだけならまだしも返事もせずに「テレビの企画で友人をゲストとして招くことになったから出演してほしい」って。
断るにしてももっとはっきり言ってくれよ。
誠意ってものを見せてくれ。
そうじゃないと友情で妥協せずに正面からぶつかったおれがかわいそうだろうが。

「キバナにでも頼めば」
「彼も同じ番組に出演する。無理だ」
「じゃあソニアさんとか」
「妙な憶測を生みかねないから女性はNGだと言われた」

NGだと言われたってことはもう提案済みということなんだろう。
つまりおれは友人枠としても一番ではなく、他が駄目だから仕方なく声をかけられた二番手三番手の存在というわけだ。
虚しすぎて笑える。
この世界はクソか。
それでもあのキラキラしい顔でしゅんとしながら「ジョウゴしか思いつかなくて」と言われたら引き受けてしまうのが惚れた弱みというやつで、収録当日は半ば自暴自棄気味に友人役をこなしてやった。
秘密の宝物のように誰にも話さずにいた自分だけが知っているダンデの一面やオフのときの意外な素顔、面白エピソードなどを披露しながらダンデがいかに良い友人かを語りまくる。
きっと視聴者からはおれとダンデが最高の親友のように見えたに違いない。
我ながらいい仕事をしたものだ。




「……な、なあ、ジョウゴ」
「なに」

無事に撮影を終えてこれでミッションコンプリートだよなそれじゃあばいばいと空飛ぶタクシー乗り場へ向かおうとしたところがしりと腕を掴まれ引き留められた。
手袋に覆われていない指先が異様なほど冷たくてびっくりする。
なんだ、緊張してるのか?
緊張?
どうして?

「その……ジョウゴはオレのことが好きなんだろう?友人じゃなくて、キスするような」

不安そうに揺れる金色の瞳に思わず息を飲む。
今日は番組のためにあんなふうに言ってただけだろうって、なんでそんな縋るような顔をお前がするんだ。
おれの恋の生殺与奪の権利を持っているのはそっちなのにこの期に及んで被害者面をするなんて、ああ、なんてひどい男!